目頭の整形
目の横幅を広げ、黒目を大きく見せたり、ハーフのような印象の目もとを希望される場合は目頭切開となります。一方、目尻切開は切れ長で優しげな目もとを創造します。
症例画像
目頭切開(小切開二重併用) 症例A
都会的で垢抜けした眼差しを希望していたので、目頭切開(加えて小切開二重)を行いました。モウコヒダは強かったので術後写真のように二重の幅の中に、その名残りの線が残っています。なお、目頭切開すると二重が取れ難くなるわけではありません。せいぜい平行型の二重の目頭側の幅が狭くなり難い程度です。
目頭切開(全切開二重併用) 症例B
ハーフのような眼差しを希望していたので、目頭切開(加えて切開式二重)を行いました。なお術前の状態は、実は既に埋没法を受けているのですが、モウコヒダが強く埋没法では平行型が難しい症例でした。
このような平行型は目頭切開で得られたというより、切開式二重で皮下眼輪筋を切離してモウコヒダの影響を少なくし、切開式の二重の癒着によってできた要素が大きいです。つまり近年の傷の目立たないZ法やW法といった通常の目頭切開では、それ単独で平行二重にする力は、ほとんどありません。
目尻切開症例
目を外側に大きくという希望で目尻切開をしました。術後、目を開けるとき、それも閉瞼または伏せ目から急に開瞼した時、目がハッキリ開いた感じとなります。
目尻切開で確実な効果を出すには 靭帯処理まで行う必要があります。また術後3ヶ月までは後療法した方が結果が維持できます。
手術の解説
1.目頭切開W法(内田準一)法
目頭の皮膚をただ切り取るのではなく、W型切開にして、そのWの中央の三角皮弁を目頭の奥に差し込む形にします。これにより従来の単純切り取りに見られた、ヒキツレ、術後拘縮による後戻りが大分解決しました。
2.目頭切開W法の皮弁の移動
W中央の三角皮弁の大きさ、角度で目頭の丸さ・鋭さを調整できるこの三角皮弁は、愛護的な操作を要求され、挫滅ぎみとなれば拘縮を来たし意味が薄れます。
3.目頭切開Z法
目頭の皮膚にZ型切開を入れて皮弁を起こし、皮弁の位置の交換を行う術式(Z形成術:Z-Plasty)です。
図で見せている裏にも切開を入れますので、皮膚を引っ張ってみますとZ型を確認できます。通常皮膚の切り取りはしません。利点はヒキツレがなく傷が目立ちにくい、また目頭の外に傷があまり出ない事です。
4.目頭切開Z法の皮弁の交換
手順としては上図のような皮弁の動きになります。
Z形成術は組織の短いところを長く伸ばす手技です。図はA~B間がA’~B’間になり縦に伸びたことが示されています。その分横は短くなります。これを目頭に応用したわけです。
モウコ(蒙古)ヒダが被っている人は、モウコヒダの縁の皮膚の長さが短いため最短コースを通ろうとして覆うので、この皮膚を延長、その分横方向が短くなれば、目頭の皮膚は横(正中側)に引っ張られて、目頭の隠れていた部分が見えてくるわけです。
これは実際には皮膚・軟部組織を三角に弁状に切って剥がして持ち上げ(皮弁起こし)、2つの皮弁を交差させて縫合するものですが、紙のモデルと違い、実際の皮膚・軟部組織は引っ張れば伸びる性質がありますから、若干の経験と感を要する手術です。
5.目尻切開の術式
図のような切開を行い中を開き、靭帯を切離します。これにより縦に縮まっていた目尻側の目は大きく開く感じになります。また皮膚を少し切り取る事で外に目が大きくなります。しかし、術後に拘縮が生じやや後戻りの傾向にあります。この拘縮対策として目尻の後療法(リハビリ)を勧めています。
料金
表示金額は税抜き価格となっております。
手術項目 | 金額 | |
---|---|---|
目頭 | 切開(W法/Z法/皮弁形成) | ¥250,000 |
切開を戻す手術(逆Z法) | ¥250,000 | |
目尻切開 | ¥200,000 |
よくあるご質問
医学コラム
由来と手術の順番(バランス)
目を大きくする手術は縦に大きくする印象の二重瞼手術、横に大きくする目頭・目尻切開が挙げられます。モウコヒダは目頭側で眼球を隠していますが、太古の昔、モンゴル(蒙古)のゴビ砂漠で砂嵐から眼球守るため発達したのがモウコ(蒙古)ヒダの命名の由来と聞きます。
女性の目は大きい印象に越したことはないのですが、一重なのに二重手術をせずに目頭・目尻切開をやるというのは、バランス的に愛されない顔の印象になります。横に伸びたような目は鋭い印象を与えても、人から愛される印象にはなり難いものです。
目頭切開(単純な切り取り→W法、Z法へ)
目頭切開は昔は目頭の皮膚の少し鼻よりの皮膚を切り取ったり、蒙古ヒダ自体を単純に切り取る方法が行われてきましたが、それでは傷が目立ったり、キツイ目頭になったり効果も悪いものでした。それに対して内田準一先生(故人)が発表した内田法は目頭の皮膚をただ切り取るのではなく、W型切開にして、そのWの中央の三角皮弁を目頭の奥に差し込む方法です。これにより従来の単純切り取りに見られた、ヒキツレ、術後拘縮による後戻りが大分解決しました。
W中央の三角皮弁の大きさ、角度で目頭の丸さ・鋭さを調整する事ができます。この三角皮弁は愛護的な操作を要求され、挫滅ぎみとなれば拘縮を来たし意味が薄れます。
その後、目頭の皮膚にZ型切開を入れて皮弁を起こし、皮弁の位置の交換を行う術式(Z形成術:Z-Plasty)が発表されました。この方法は通常皮膚の切り取りはしません。利点はヒキツレがなく、また傷が目立ちにくい、目頭の外に傷があまり出ない事です。縦方向の皮膚が皮弁の交換をすることで伸びます。その分、横方向は縮むことになります。これは、蒙古ヒダの成因が縦方向の皮膚の短さから最短コースを通ろうとして目頭を被ってしまうことを本来的に解決することになった大変優れた方法と言えます。
目頭切開逆Z法(元に戻す)
「目頭切開の修正ができますか?」と聞かれる事があります。私は平成9年か10年から通常の目頭切開Z法と逆の手順で行う通称「逆Z法」で行っています。これはZ法で行った目頭切開だけでなく、W法や単純切り取りで行われたものにも有効です。
縦方向を短く横方向を長くすることで蒙古ヒダを形成するのです。ただ初回の手術で切り取られた皮膚が戻ってくるわけではないですから、普通に逆Z法でやる分には、手術前と全く同じほどに戻るのは難しいと思って下さい。効果を出そうと無理をすると歪みが生じるものです。
また逆Z法は、傷が目立つところに残ります。それは初めての目頭切開をZ法で行う時のデザインの通りの傷です。縁の内側(眼球寄り)は良いとしても縁より外側(鼻根部寄り)の鼻根部よりに斜めにつく傷が目立ち易いと言えます。患者さんにはお化粧で3~4ヶ月隠してもらっていますと、後々はすごく目立つような事はありませんが、その気になってみれば分かります。
目頭、目尻切開の難点
希望する目頭の形をあらかじめ医師と良く打ち合わせすることが大切です。一度切り取ってしまった皮は戻せないのでそこを良く相談すべきでしょう。特に、目頭を開くと「ハーフっぽい」イメージになります。良く言えば「美しい」「隙が無い」「凛としている」印象になります。しかし「癒し系」や「可愛らしい」イメージは目と目の間がある程度離れてモウコヒダがある程度残っている方がそのイメージが出せますのでそこを良く理解した上で行うべきです。
目頭を開く場合鋭く切り込むようにして欲しいのか、自然な感じ開きたいのか、術前にきちんと医師に伝えておくべきです。目頭切開は、目と目の間が3、5センチ以上開いていると目が離れている印象になり手術の適応です。しかし、それ以下の場合は患者さんの美意識に合わせる事になります。目頭を切ってしまうのに抵抗がある場合はプロテーゼやヒアルロン酸で鼻筋を通し目と目の間を高くしてみるのも一つの手段です。
目と目の間が高くなると目が寄って(目頭が開いて)見えます。プロテーゼの場合気にいらなければ抜けばすぐに元に戻す事が可能です。ヒアルロン酸は半年過ぎるとまあまあ吸収されますが、近年のヒアルロン酸は少しだけ効果が残る印象です。
なお、ヒアルロン酸分解酵素は期間が経ったものにも大変有効で、ほとんど分解します。目尻に関しては切る限界があります。効果は2ミリ以下と思っておくべきです。というのも目尻側の皮膚の被いは僅かしかなく、切りすぎると目尻側の赤い肉が見えすぎてしまい「恐ろしい」印象になってしまうからです。自己満足程度の小さな変化までが限界の手術と思って下さい。