額の整形
額を丸くふっくらとさせると、若々しさやかわいらしい印象を与えることができます。恒久的な効果は望めないですが、手術をしないヒアルロン酸注射や脂肪注入といった方法もあります。
症例画像
額の整形(小切開・ハイドロキシアパタイト) 症例A
佐々木希さんのようなハーフっぽいひたいを目指し、注入するハイドロキシアパタイトを通常より増量で入れ、生え際まで膨らましました。沢尻エリカさんの額もこのような感じです。
額の整形(小切開・ハイドロキシアパタイト) 症例B
額の上から8mmの切開を行い、ハイドロキシアパタイトを注入(充填)しモデリングにより下の写真のような形状を得ています。
額の整形(小切開・ハイドロキシアパタイト) 症例C
眉から上に4cm位が若干凹み気味だったので、その部位にハイドロキシアパタイトを入れ丸みを出しています。生え際付近は変えていません。
額の整形(小切開・ハイドロキシアパタイト+鼻シリコンプロテーゼ) 症例A
術前の額の凹凸が目立つので上記症例より多めにハイドロキシアパタイトを使用しています。
額の整形(小切開・ハイドロキシアパタイト+鼻シリコンプロテーゼ) 症例B
術前は眉骨の隆起(眉骨上隆起)が目立つので、これを削る方法もありますが、削らずに額に小切開でハイドロキシアパタイト、鼻スジに鼻根部を厚くしたシリコンプロテーゼを入れています。
手術の解説
1.額のシリコンプロテーゼ挿入
一番古くから行われている方法です。髪の生え際の後ろに約4cmの切開を行い、骨膜の下を剥がして眉のすぐ上まで到達し、板状のシリコンを挿入します。
このシリコン板は傷口からの挿入時は縦に入れ額の骨の前で90度回転させ定位置に置きます。この際剥離が不十分ですと回転が妨げられ少し回っていたり歪んだ状態で入ったままになることがあります。
しかし避けられようのない問題は、傷口約4cmのハゲができる事と、その傷の後ろの知覚神経麻痺、シリコン板のヘリが額の皮膚の上から見て分かってしまうことです。
2.額の骨セメント
セメントを骨の上に付け硬化すれば出来上がりですが、このセメントはメチルメタクリレートという成分で有機溶媒を含むため整形外科で人工関節・人工骨頭の手術において骨髄にこのセメントを付着させると、急激に血圧が低下することはしばしばあります。しかし固まってしまえば問題はありません。
またこのセメントは硬化の際、皮膚なら火傷をするほどの発熱をみますので、従って図のように骨膜下に頭の皮を大きく剥がして、額の骨を完全に露出させてから、額の骨の上にセメントを付着させ、後は手でペタペタとモデリングを行い、硬化後に発熱も治まったら頭の皮を元に戻して縫合します。
問題点は侵襲が大きい(出血多め)こと、長いハゲが残ること、セメントは骨とは違い異物であるということです。
3.額のハイドロキシアパタイト
セメントと似て異なるもので人間の骨の成分と同じものです。これは粉と溶解液を混ぜ合わせるとしだいに硬化し骨様になってきますが、その際に発熱はしません。
そのため皮膚切開は注入管が入る程度でよく、約8mmの切開で済みます。その小さな切開から骨膜の下で剥離しアパタイトを注入し、硬化するまで手のひらでモデリングするのです。
ハイドロキシアパタイトは人間の骨と同じ成分なので生体内に入っても異常な反応を見ず、額の骨と一体化する形でずっと存在することになります。将来的な問題点は特にありませんが、モデリングを皮膚の上から行うため器用にやらないと皮下で起伏が生じます。
料金
表示金額は税抜き価格となっております。
手術項目 | 金額 | |
---|---|---|
こめかみプロテーゼ | ¥400,000 | |
額ハイドロキシアパタイト | 通常 | ¥500,000 |
増量 | ¥600,000 | |
後頭部・通常 | ¥700,000 | |
後頭部・増量 | ¥800,000 | |
頭頂部冠状切開/額メチルメタクリレート | ¥1,200,000 | |
額プロテーゼ抜去術 | ¥200,000 | |
眉骨削り | 冠状切開 | ¥1,100,000 |
眉下切開 | ¥600,000 | |
眉間プロテーゼ | ¥300,000 |
よくあるご質問
医学コラム
額の整形の意義
美人は額で差をつける!目や鼻の美容整形は誰でもい思いつきますが、額の整形は思いつかない人も多いです。額の美しい人はここで差をつけます。東洋人は額が狭かったり、コケている人が多いために、粗野、貧相なイメージがつきがちです。これをふっくらと丸く大きめにすると、キューピーちゃんのように可愛く、若く、そして目鼻もキチンとしていれば、育ちが良い、頭が良さそうという演出ができます。
顔の縦の黄金律は1:1:1(額:鼻:口と顎)ですが、女性の場合、額を例えば1.2、口と顎で0.8とすると幾つになってもチャーミングなイメージが保てるものです。逆に男性で会社社長や重役なら顎が大きいイメージの方が似合う顔になります。
手術の変遷
随分昔は鼻や顎に「肉質注射」と称してオルガノーゲンやシリコンジェルを注入していましたが、額も同様でした。しかし異物ですから後々は変形をきたし悲惨だったものです。その後は鼻や顎にシリコンプロテーゼが使われるようになると伴に、額もそれにならいました。
ずっとその治療法が続いているのですが、この10年位は頭の皮を剥がして骨セメントかハイドロキシアパタイト(HA)を骨に接着させる手術も行われるようになり、ハイドロキシアパタイトの場合は硬化時に発熱しないので、小切開から骨膜下に流し込む方法も取り入れられ、アメリカの美容整形の雑誌にその論文が出ています。
また、近年はプチ整形の一環として額にヒアルロン酸やレディエッセの注入が行われる事もありますが、やはり線状の注入で面として均一でハリのある感じは出せず、骨セメントやハイドロキシアパタイト(HA)と比較し形状で劣ります。後々だいぶ無くなるのも欠点です。
額シリコンプレート
鼻に使う固形シリコンと全く同じ素材で板状のシリコンプレートが既成品で発売されています。手術は局所麻酔で切開を4cmほど頭髪内で行い骨膜下を剥離、挿入します。手術後の頭皮の腫れは髪で隠れて目立たず、額自体の腫れも軽度です。
後々問題になるのは、切開部で知覚神経が切断されるため、傷より後ろでビリビリした異常感覚を感じるのと、頭皮のハゲ、そして一番の問題が額の皮膚からシリコンプレートの縁(ヘリ)が目立つ事です。
人工骨:骨セメント(メチルメタクリレート)
手術ではセメント粉と溶解剤を混合し粘土状に練り、額に付着させ、手で形を整えます(モデリング)。医療全体では主に整形外科(骨)分野で人工関節・人工骨頭を骨髄側と固着させるのに使用されます。この骨セメントは異物である以上に額で使用する場合は「硬化時の発熱」が大きな問題で、皮膚の熱傷を避けるため、頭皮を冠状にグルっと切開(つまり耳の上~頭頂部~耳の上)し額の皮を一度全部剥がし、発熱がおさまるまで皮膚軟部組織が触れないようにします。脳は循環する髄液で守られていますから大丈夫でしょう。
この手術は全身麻酔が必須ですし大きく切りますから出血量は多く術後の腫れも長引きます。傷も長いのでハゲが一番の問題でしょう。しかし額の形状は良いものです。
人工骨:ハイドロキシアパタイト(HA)
これは人骨と同じ成分で全く無害と言えます。従来固形のもの整形外科(骨)や脳外科で使用されてきましたが、近年、HA粉と溶解液を混ぜ後で硬化する「ペースト状アパタイト」が開発され用途が拡大されました。美容外科の額の整形で上記、骨セメント同様に冠状切開・剥離で前頭骨に塗りつけることも行われますが、硬化時の発熱がないので、小切開から骨膜下を剥離&注入の方がメリットは大きいと言えます。
注入後は皮膚を介してモデリングします。だいたい固まるのに15分程かかります。局所麻酔で楽に行え傷も小さく腫れも最小限で済みます。
問題点は皮膚を介してのモデリングですから上手にやらないと起伏を生じることです。それを回避する場合は、骨セメントと同様の冠状切開で行うべきですが、HA使用のメリットが「全く無害」であること以外は生かせません。
これらの手術の弊害
シリコンプレートを使用する場合は、メーカーで売っている既製品が、面積的に小さめで且つ板状のため、入れた後、辺縁に軽い段差を生じ、それが見た目に分かるのが最大の欠点です。これを治すのに浮き上がった縁に脂肪注入をしていた医師はいましたが、やはりキューピーちゃんのような広めの綺麗な額というより、薄いシリコンでは大して変わらないor厚くなっていくに従い中央部が突出気味のデコッパチの様相を呈する事は多いものです。
また、シリコン挿入が生え際から後ろ3~4cm程度では知覚神経の一部の切断は避けられず、しばらくは異常知覚が気になるものです。骨セメントは粉と溶剤を混ぜると有機溶剤というかシンナーのような臭いがプ~ンと立ちこめ、骨髄腔に入れるとよく血圧がドーンと下がり麻酔科医から嫌がられたものです。
また整形外科で下肢のコンポーネント(人工物)に骨セメントを使うと荷重に耐え切れず10~20年でズレが出てきて、これをLoosening(ルースニング)と呼び、グラグラしてきたら再置換:Revision(リビジョン)を行っていました。ただ、このセメントも額に使う場合は骨皮質の上に乗せるので有機溶媒の副作用もないでしょうし、荷重のような不可はかからないところですからズレることもないと観ます。
やはり実際の問題は片方の耳の上~頭頂部付近~もう片方の耳の上まで切開し、頭皮を眉側まで剥がす出血・侵襲の多さや全身麻酔となること、頭皮の長い傷は「禿げ」としてずっと残る事が一番の問題でしょう。ハイドロキシアパタイトの問題は小切開から行う場合、額の皮膚を介してのモデリングのため、緊張感のある局面の形成の成績に術者間で差が出ることです。