後頭部絶壁への治療
今から12年以上前の平成20年1月に、私は後頭部絶壁の治療でペースト状ハイドロキシアパタイトを日本で最初に行いました。
ハイドロキシアパタイトとは人工骨のことで、私が医師免許を取得した昭和62年には臨床応用は盛んに行われていました。
同年に私が久留米大学整形外科の腫瘍班に居た際に、講師の中島先生が上腕骨骨嚢腫を掻爬してはハイドロキシアパタイトを充填されると言われ、ブロック状のアパタイトを砕いて入れる際に砕くのを手伝わせて頂き、この時が 私にとってハイドロキシアパタイトとの出会いとなりました。
時は過ぎて平成12年に、粉末と溶解液を混ぜ合わせて作るペースト状ハイドロキシアパタイトが、三菱マテリアルによって開発・製造され、三菱ウェルファーマが販売を開始しました。
これは主に脳外科や脊椎外科にて使われることを想定して製造されたものですが、翌年には美容外科での額を丸くする手術に使われ出したものでした。
当院では平成14年2月から、その額を丸くする手術にペースト状ハイドロキシアパタイトを使うことを開始、結構な数の症例数を築いて行きましたが、そのうちに「頭部の前でやっていることなら後ろでも出来るんじゃないか?」と当院の看護師と絶壁治療への応用の話してはいたのですが、踏み切るのには躊躇していました。
そうしているうちにメールで同じように「額でやっていることなら絶壁でも出来ませんか?」と連絡してきた患者さんがいて、「国内第1号となりますが、良いですか?」との話し合いの上で行った人が症例紹介で載っているモニターさんです。この人の治療が冒頭のように平成20年1月となります。
今回、もう1人もご紹介させて頂きます。