医療が壊れるか、勤務医が壊れるか

医療が壊れるか、勤務医が壊れるか興味深い記事がありました。
国立循環器病研究センター病院では「月に300時間の時間外労働を可能とする協定を結んでいる」とあります。・・・まあそうでしょう。循環器では日本最高レベルの医療を行っているところですから。

私たちも徳洲会病院では似たようなことで、特に研修医の先生は病院に泊まり込みのことが多く、睡眠以外は1日中働いている感じでした(医学勉強時間含む)。
50歳以下の医師の残業は月200~250時間前後だったように思います。なお残業代は1円も出ませんでしたが最初から込みなのでしょう。私は33歳の頃、年俸800万円くらいでだったと記憶しています(+社宅家賃半額補填)。責任の重さと労働の過酷さからすれば、もっと高給で良いと思いますが、医師は皆、お金は2の次、3の次でした。

昨今のニュースでは電通の高橋まつりさんが亡くなったことで、電通も残業抑制を打ち出し22時には消灯するようにしたと読みます。しかし一方で電通が例えばソフトバンクの白戸家シリーズのような面白いCMを作り続けて来れたのも過剰な残業の成果だったと読みます。今、白戸家シリーズ も「10年間ありがとうございました。」と表記していて、本当に終了なら残念な気がします。

ニュース記事文中に「医師たちが、必要とあれば体力の限界まで協力するという意思表示」とあり、続いて「こういう議論を乗り越えて行かないと勤務医の問題は解決しない」ともあります。

しかし私の個人的な意見ですが、やっぱり「8時間寝ても良いけど、16時間働け(徳田虎雄語録)」で良いと思います。
そうでないと受益者は、量も質も費用も納得できるものを受けられなくなります。
16時間働いている方も辛い時は多々ありますが、責務の自覚と達成感の喜びで続けられるものです(しかし感謝も無くて、ただ利用されている様なら悲しいかな)。

患者さんならベテランで医療に邁進している医師にかかりたい訳で、「週40時間労働で残業はしません。趣味と家庭には仕事以上に時間を充てます。」なんて言っている医師には手術をお願いしたくないはずです。

ただ何の職種も同じでしょうが、働き過ぎによる自殺やか過労死が出ないように、危ない人は滞りなく時短勤務へか退職して頂く環境づくりは必要と思います。