戸籍上の男性が妊娠・出産することが日本でもそう遠くない日に来る
10月25日の最高裁の判決で、『出生時の性別と性自認が異なる人が戸籍上の性別を変更する時、生殖機能をなくす手術が必要になる「性同一性障害特例法」の規定(生殖不能要件)に対し、最高裁大法廷は、この規定が「強度な身体的侵襲の手術か、性別変更を断念するかの過酷な二者択一を迫るもの」として、初めて違憲と判断した。裁判官15人全員一致の意見。』との報道を受けて私は驚愕しました。【更なる衝撃】まで予見すれば、ハロウィーンどころではありません。
今回の最高裁の判断は女性から男性になりたい人に限って言えば、卵巣と子宮を残したまま、外性器を男性風の手術をすれば戸籍上男性となれて、『やっぱり自分の子供を産みたい!!』となった時、男性のホルモンの投与を中止(加えて排卵誘発剤の投与)をすれば、妊娠・出産が可能です。世界では2019年にはそれが報道され、続々と続いています(検索で分ります)。
卵巣と子宮の摘出手術となれば外科的な侵襲は大きいですが、外陰部の形状だけを男性風にしようとすれば局所麻酔でも可能で出血も少ないです。女性の大陰唇は男性の陰嚢と同じで、小陰唇は男性の陰茎の包皮と同じです。私は男女とも手術でその切開の断面を見て『同じ見た目・性状』であるのを確認しています。だから小陰唇をフラップとして前方に起こし2枚を1枚にして後日乳房縮小(または切除)の組織を充填(移植)、大陰唇も同様に充填すれば、見栄えだけに限れば診断書で男性風とは書けると思います。私は過去に男性から女性への性別適合手術を行っており、1名は私がその診断書を書きまして、それが裁判所で認められ戸籍上の性別変更ができています。
女性が男性ホルモンの注射を打っていれば生理は止まりますが、卵巣内の卵子は死滅せず温存されたままです。そして性別適合手術の際は、将来子供を産む気がなくても最高裁の判断を受けて体の負担の少なさという面でも卵巣と子宮を残す性別適合手術が普通になると思われます。するとやはり手術時はともかく後年の心境の変化やパートナーとの話し合いなどで、そのトランスジェンダーの妊娠・出産はあるでしょう。「私はパパから産まれた」となる衝撃は現行法と相容れないのに判決文は全く言及がなく裁判官の医療への無理解、先読みの無さには呆れます。
【更なる衝撃】上記自分の子供を授かれる女性→男性のトランスジェンダーが日本で存在して行けることが10月25日に法で認められた以上、男性→女性のトランスジェンダーも同じ要求をしてくるのではないか?ということです。
今回、最高裁は性別変更後の性別に似た性器の外観を求める要件(外観要件)は審理を尽くす必要があるとし、憲法判断せずに高裁に差し戻しました。さて高裁は何と判断するか?女→男のトランスジェンダーは生殖能力を残しつつ外観要件の手術を受けることができるが、男→女のトランスジェンダーは生殖能力を残しつつ外観要件の手術を受けることが出来ない(睾丸を体内に収めれば造精能力が無くなり癌化のリスクUP、陰茎が無ければ性交不可)。これではあらゆる人々は法の下に平等(憲法14条)への違反であるから外観要件も違憲と判決を言渡す。との判断は十分あり得ると思います。欧州諸国を中心に外観要件も含めた手術条項を撤廃した国々は40か国ほどに上ります(オランダ・ドイツ・アイルランド・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・スペイン・メキシコなど)。これらの国々のことは念頭に考えるでしょう。
裁判官はどんな訴訟指揮をしてどんな判決を下しても国賠法1条1項に守られ個人責任を負わないというのが通説です(昭和30年の最高裁判断以降)。言葉よく言えば「自由心証主義」ですが(これが恐い)。
日本はオランダやドイツとは国情・国民性が違いすぎます。完全な男性型の肉体をもった人が戸籍上「女性」となって良いものか?特にトイレや浴場において。再度書きますがハロウィーンどころではありません。