創傷に消毒液を絶対に使用しない(夏井睦先生)VS使用して構わない(中西秀樹先生)
向かって左のメガネをかけた人が近年、「創傷に消毒液を絶対に使用しない」ことで有名になった夏井睦先生で、それに対して「使用して構わない」と発言している向かって右が徳大形成の教授の中西秀樹先生です。
この対立する考えでは私は夏井先生の方を支持しています。これは私が医師1年目、久留米大病院の整形外科の研修医だった頃に発しています。ある日、形成外科の回診に同行させてもらったら、回診車に生理食塩水を浸した「湿綿」が容器に入れてあり、「傷は消毒してはいけないんです。」と言われ妙に感動しました。
それ以降、傷に菌がついていても大量の水で洗浄、もしくは長時間の生理食塩水で還流で治すのを常としました。傷に付いている菌を消毒液で殺菌するのは一見良いように思えても、同時に薬品火傷として組織が死に創傷治癒が遅れるばかりか、消毒液が抜けた後、死んだ組織に細菌が繁殖し易くなり逆効果であるからです。
昨年の救急医学会の専門医更新のためのセミナーの中にもありました。米国の格言「眼に入れてはいけないものを創に使用してはならない。」