執刀した患者の手術結果を馬鹿にする医師はいない。
「医師・患者関係は信頼関係を築くことが大事である」と学生時代に何度も教えられてきましたし、医師免許取得し四半世紀以上経った今もやはり同感なのですが、世間にはマスコミの一部などに医療者に敵意を持つ人たちがいます。以前週刊ポストに「手術室の真実 信じられない罵詈雑言」などという連載があったのも思い出されます。一般の方でああいう煽りの記事を読めば読んだで、そういう酷い発言もあるんだろうな?と思うのかも知れませんが、こと手術に関して、その医療機関内で手術した患者さんの結果を馬鹿にする医師はいませんし、執刀医自らなら絶対いないです。
それは患者さんに対する思いやり、配慮の面もあり、また自らのブライドから自分の手術結果を馬鹿にするのは自分を馬鹿にする事になるので、併せて絶対いないと私は思っています。
昔、某美容外科の先生が著書に戯言の表現として「二重にしてもブスはブス」と書かれていました。しかし実際、美容外科医師自信が手術した二重の患者さんに対して「二重にしてもブスはブス」とは絶対に思わない、思いたくない、思うはずがないものです。万一そのような思考をしてしまう医師は絶対に伸びませんから、オーベン(上級医)から執刀チャンスを与えられません。だいたい外科医を辞めてしまうはずです。
ただ患者さんからすれば結果は同じであっても自らのプライドから手術するのでなく、症例1、症例2、と言うより、山田さん、佐藤さんの様に人として観てくれたらより嬉しいのは当然です。
だから私が奉職した茅ヶ崎徳洲会総合病院の待合室に中国の有名な諺が掛け軸にありました。「小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す。」・・・皆なかなか大医には成れませんが、中医には成れると思いますし、案外成っています。そうでないと無給なのに深夜まで働いたり休日出勤できる思考にならないものです。