神経麻痺が残っても綺麗になりたい!!
先日、ブログに書きましたアゴ骨のVライン形成で下顎骨の中の下歯槽神経管の神経を、かすめてエラまで切り上げて骨を切った患者さんが抜糸に来ました。術前のカウンセリングの時は、
●患者:「神経を切っても良いからアゴの骨をもっと切り上げて欲しいの。」
○木村:「そんな手術したら神経麻痺のVラインのアゴを作るだけですよ。」
●患者:「素適~。」
・・・若い女性の綺麗になりたいという熱意には凄まじいものがあります。私も以前、他院で下歯槽神経管の神経を、かすめてエラまで切り上げてされている人を診たことがあります。唇の感覚は半分くらいしか無いそうだったのですが、ご本人はそれは気にされず、アゴの骨削りが不十分だと思うので、もう少し削って欲しいと言われました。初診ではリスクが大きいので断りましたが、また何カ月かして3回程来られ、結局リスク回避で、あと少しだけ神経損傷をこれ以上作らない範囲で削るといことで、超音波骨削り機で骨を削りました。
今回の人はその人を彷彿とさせました。もう抑えられない気持ちは理解しましたから、「明らかに神経を切断するような事は出来ないが、下歯槽神経管の下面まで削る」という事でやったのはブログに書いた通りです。手術の日の術後リカバリー(安静室)にいる時に、下唇の感覚は正常の何%ですか?と聞くと「1」と言われました。
そして先日の抜糸の日に、再度聞きますと、「何か触ってる感じ分かります。3%くらい」と言われました。「3%」などと言われると私には緊張感が走りましたが、このオトガイ神経が回復が良いのは確かで、とにかく神経の固有支配領域を触っても、「何か触ってる感じ分かりますよ。」と言われるから神経の切断までは至ってないはずだから、気長に待とうという事にしました。