小切開の傷で皮下は全切開の内部処理
二重を小切開法で行うのは一般的には黒目の上を約1cm切開して行う事が多いものです。私もずっと以前はこれで行っていました。しかし黒目の上だけの切開では目頭側、目尻側の皮下組織の内部処理ができません。それのためこの1㎝の小切開では二重のラインの深さが不均一になってしまいます。ですから、やはり全切開じゃないと駄目だ。と思った事もあります。しかし全切開とは皮膚を全部切るから二重になるのではなく、皮下組織の内部処理で瞼の裏側と表側の癒着を生じさせるものであり、その作業が終われば皮膚を閉じる(縫合する)わけですから、何も全部開かなくても、「皮膚に窓だけ開けて、皮下の内部処理は全切開同様に出来るんじゃないか?」それがひらめきました。ひらめいてもなかなか実行には移せないので、美容外科の雑誌や書籍を調べてみましたら、案の定、そういう事が載っていました(美容外科手術プラクティス≪1≫46頁など)。
そしてある時、埋没法ではとても無理な幅広平行二重の希望の人が来られましたが、全切開の傷にかなり躊躇もされていました。それで自分の考えと文献にある方法を織り交ぜ、「1㎝の傷を2つに分け5㎜×2にしてマイクロ摂子(顕微鏡用ピンセット)も斜めにも入れて目頭~目尻側の内部処理を全切開のように行います。」等と説明しやりましたら、これが大変上手く行き、私にとって山を一つ越えた様な感慨を覚えたものでした。