生食創洗浄の高圧はダメ、実は生食だって組織を挫滅

(整形外傷セミナー:続き) 開放創は汚染創ですから細菌や細かい異物を洗い流すために大量の生理食塩水で洗うのですが、この際、高圧洗浄では菌を奥に押しやるので、適度な圧でとの話になりました。また範囲が余りに広いと水道水洗浄では患者が痛がるので、これは浸透圧が異なるからと思うとの話しも出ました。
 でも今の私には適度な圧の生理食塩水の洗浄でさえ「ミクロレベルの挫滅」という気持ちがあります。これは私が茅ヶ崎徳洲会在任中に手の外科専門医の部長から言われたことです。部長は米国留学中に、そういう指導を受けたそうで、清潔手術では洗浄せずに傷を閉じていました。またこの部長から、組織に針糸を通す時は凄く注意をし、気軽に「ちょっと掛ける位置が違ったかな?少しズラして掛け直そう。」などというのは針穴と言えども組織を傷めるので「1発で決めないといけない!」と言われていました。手の外科医の非侵襲的愛護的手術操作はウルトラ級です。私もこのような発想を素敵だと思います。