医学部の留年
先日、医師国家試験の合格発表があって、新卒の合格率は93.3%でした。私が卒業した30年余前頃は、もっと低かった記憶があります。
ですから「医師不足から易しくなったのか?」と思いつつ別の記事を見ていたら、「ストレートに国試に受かったのは3分の1」との記事を見て驚きました。今はどの医学部も入学するのに偏差値60以上は必要で、学生は皆優秀のはずですのに。
私の母校の1981年入学者の場合でも、ストレートに国試に受かったのは約2分の1でした。当時、医学部ブームというほどものはなく70年代に設立された医学部の場合、偏差値50前後でも入れました。しかし国試までに課せられる試験のハードルは高く、ほどほどの勉強しか出来ない輩は留年して当然で、退学させられた者も1割くらい居たと思います。
添付の記事の続きを読めば、大学受験だけが目的で、医師への志の低い者が入学後の勉強を怠っているし、大学側からすれば20人留年させれば1億年の増収になる、国からの医学部助成金は国家試験の合格率が低くなれば減らされる。これらを大量留年の理由に挙げていました。
私は高校生の頃は中欧史と倫社、浪人中の10カ月間は漫画に傾倒していましたが、結果的に医学部入学後、特に専門課程に入ってからは、医学勉強に専念しましたし、卒後も猛烈に働きました。
祖父・父・兄、弟、親戚が医師、医学生だったので、医学界と相撲界には似た体質があるのは知っていたので、そういう世界より無限の自由と創造性を手に入れようと漫画家になりたかったところですが、才能の限界を悟っては仕方がなかったですね。結局は稽古、稽古で積み上げて行くしかない相撲部屋へ入門する気持ちで医学部へ入りました。
そういう意味で医学部入試の面接で面接官が「親は医者ですか?」と訊くのは、少なくとも見当違いの幻想は抱いていないと観るのに良いことと思います。