Ⅰ型シリコンで鼻の皮膚が破れている(Ⅰ型でも安全ではない)
鼻のシリコンプロテーゼは、I型ならば安全と思い込んでいる人がおられるようなので書きます。
① I型で鼻根部~鼻先の手前までの短いプロテーゼなら安全性が高い(安全と言い切っているわけではありません。ご老人で鼻背部の皮膚が破れてシリコンが露出や後年になっての細菌感染を私は見たことがあります)。
②I型で鼻根部~鼻先まで来るプロテーゼなら中間型と同様(鼻先部で左右にずれる可能性がある分、中間型よりは劣る。)
上記の②に関して、鼻先部であまりに厚くしたり、プロテーゼを長くし過ぎると皮膚を破きます(画像提供・表示許可の方に厚く御礼申し上げます)。
鼻のシリコンプロテーゼは従来3タイプに分類され、上顎骨を土台に脚が支えて鼻先を突き上げるL型、突き上げ効果はないが脚を細く短くして鼻柱(鼻橋部)に置くことで鼻先で左右にずれないようにした中間型、上述2種類のI型に分けられます。
鬼塚教授は中間型をして「私の好んで用いるもの」と書いていますが、私も鼻中隔延長との併用時以外は過去圧倒的に中間型を使用しています。
ただこの中間型の言葉は美容クリニックのチェーン店では最近は使わないようで、私は4年ほど前にチェーン店入職2年目の先生に、「プロテーゼは短いI型で、鼻先は耳介軟骨移植か鼻中隔延長で高くするという風に教わっています。」とも聞きました。つまり短いI型オンリーというのです。既製品を削って作るI型への加工時間は5秒~3分くらいで、中間型作成ような細かい気遣いは不要です。
なおその2年くらい前(平成28年)に私は「用語」での患者さんとの認識の違いに気づき、カルテと同意書には、「中間型」とか「I型」と、くどく書くようにしています。
鼻先を高くするため耳介軟骨を何枚か重ねて移植する場合、3mmの厚みのものを置けば3mm高くはなりません。中での沈み込みがあるからです。また後々の軟骨の吸収もあるので半年以上経った時は術前と比べて少しの変化に留まります。
ハーフやクォーターの鼻を目指すとなれば、これでは追いつきませんので、私はL型または中間型プロテーゼの先端に耳介軟骨を合体させたハイブリッドプロテーゼも多数行ってきました(L型の際は皮膚保護のため鼻先上向きに限る:リンク頁の最下画像)。この方法は私が常勤医としては初めて入職した大手美容形成外科では当たり前のように行われていたものです。
ただ響きの良い呼称がなかったので、私はコムロ美容外科在職中に上記命名をし、公開料金表に載りました。しかし後にプリウスが発売されたので、私とは全く関係なしにハイブリッドプロテーゼと呼び始めた医師がいたかもしれません。