鼻翼基部プロテーゼ(貴族手術)よりヒアルロン酸注入
題目のとおり鼻翼基部プロテーゼ、俗称:貴族手術は、鼻翼の横の凹みを持ち上げる手術として昔からあり、若い人のご希望は多いです。
定型的な「まが玉」にも似た形のプロテーゼを口腔内切開で行って定位置に入れるのですが、2週間後に検診で診たらズレていたというのは珍しくありません。つまり再手術率が高いのです。
最初の手術の時から骨膜に糸をかけてプロテーゼと固定しても、喋ったり笑ったりと動きが大きいところですから、やはりズレてしまうので、学会では顔面骨に釘を打ってそれに固定すると踏み込んだ発言をされる医師もいたのですが、踏み込みすぎと思います。
また、ズレもなくて上手く出来ていると見えても、深いところから押し上げるので鼻翼が広がってみえるようになり、私はこのために鼻翼縮小術を患者さんに行ったことがあります。
また効果をハッキリ出そうとプロテーゼに厚みをもたせると、うす暗い部屋で横から光がさせば、その部位が不自然に盛り上がって見えるので、それが嫌で抜去というのは、他院様(韓国も含め)の術後患者さんで行った人は少なくないです。
逆に不自然に盛り上がりが生じないために、砕いた肋軟骨を鼻翼の横の凹みの深いところに充填するとの学会発表をされた医師もいますが、費用が凄く高くなりますし、粉砕された粒状軟骨間には間隙が生じますから、軟骨の吸収率とは別に間隙部が潰れてボリュームが減るのは確実に起きるので、後々物足りないとの感想を持つ患者さんは多いと私は予見します。この術式は今後の学会報告待ちです。
それで私の場合は近年、「鼻翼の横の凹みはヒアルロン酸の架橋のあるものを入れて持ち上げましょう。」と薦めることが多いです。これは患者さんにとって、失敗がない・確実に良くなる・安い。というメリットがあります。デメリットは、架橋のあるヒアルロン酸は少しは永続的に効果が残るとは言え、やはり吸収される方が多いので、満足するのに複数回打たなければならないということです。
私は「美容医療とは幸せ医学」と思っていますから、「失敗は相当程度あります。」「まだ医療としての評価が定まっていない段階です。」という術式はとても薦められないので、やはり今は『鼻翼基部プロテーゼよりヒアルロン酸注入』と考えています。