ハゲ治療薬のプロペシアで精子が減るなら笑えない
左記の画像は日本美容外科学会総会の抄録集の裏表紙の広告なのですが、描かれた男性も医師も髪が増えて笑顔です。しかし実は17日のランチョンセミナーで、プロペシア(禿治療薬)の講演がありました。その講演の最後の方で、座長の先生がこう言われました。「大学病院泌尿器科准教授がある講演の懇親会の際に個人的に『プロペシアの内服した人は精子の量が減り、それはプロペシアを中止した後も改善しない。』と言われたのですが、演者の先生は、どのように把握していますか?」という風に尋ねたのです。
これに関して演者の先生はそこまで把握していなかったそうで、「今後の検討課題とさせて頂きます。」と答えました。
学会ではプロペシアを販売しているMSD株式会社(米国メルクの日本法人)が展示ブースを設けていたので、私は後で、そこに立ち寄り、会社の人に、その精子量の減少の事を問い質しました。すると、「その件も(アメリカの方で)データを取っていますが、プロペシアの内服で、精子の数に有意の差は生じておりません。また精子の運動量の低下も来しておりません。」とスパッと自信に満ちた顔で答えられました。更に続けて「日本国内で論文として、プロぺシア服用中に精子の量が減ったけど、中止後、正常に戻ったというものが1つはありますが。」とも答えられました。
大学准教授と販売元業者の話が違います。どう解釈すれば良いのか?薬物医療というのは、先日のノバルティスファーマの事件のように利益相反も絡んでこの様に曖昧な部分があるので難しいのです。