鼻先までプロテーゼ(中間型)も良い
私が美容外科の非常勤医として働き出したのは昭和63年の2月からで、そこからずっと美容の世界を見て来た私の個人的な感想ですが、平成20年になるまでは、鼻に関してはプロテーゼ単独手術が一番多かったものです。
あの頃は、よく伊東美咲さんが引き合いに出されていました。
私が教えを受けていた頃は「シリコンプロテーゼを鼻根~鼻先~鼻柱を通って上顎骨に届くまで入れて、上顎骨を台にしてプロテーゼの脚で支えて鼻先に高さを出すのを『L型プロテーゼ』という。それに対してプロテーゼが棒状なのは『I型プロテーゼ』、プロテーゼに脚を付けても鼻柱の途中か、せいぜい付け根で終わらせるのは『中間型プロテーゼ』と言う。」と言われ、その当時一般書店でも購入できた昭和大学形成外科の鬼塚教授の本にも同じような説明と分類が載っていました。
そして鬼塚先生も「中間型は私も好んで用いるもの」と書かれているように多くの医師が中間型を使用していました。
しかし、この流れが変わったのは平成20年頃からです。これ以降は、鼻先まで届かないI型プロテーゼに鼻先耳介軟骨移植または鼻中隔延長を行うというのが流行りになったのです。
医学的に間違ってはいないことで「鼻先に異物であるシリコンが来ていると、何年後か先に皮膚を破いて出て来る可能性があるから、鼻先は軟骨で高くしましょう。」と聞いた患者さんは納得もするのですが、この組み合わせ手術は60万円以上、100万円以上が普通です。
実はリーマンショックでの経済不況や美容クリニックが増えすぎて過当競争になって、1人の患者さんから以前の2~3倍払って貰わないと以前と同様の売上が作れないという側面からこの流れになったのは大きいようです。そういうことを奥で経営を管理している事務長が声を張り上げていることかと思います。
そして『中間型プロテーゼ』という言葉自体が余り聞かれなくなり、「(脚の短い)L型」と若い医師は呼ぶ傾向になった様です。
平成20年以前に中間型や鼻先まで来るI型プロテーゼを入れた人で「何年後か先に皮膚を破いて出て来る」または「出てきそうになった」人は殆どいません。居たとしても下記の条件を逸脱した無理な大きさのプロテーゼを入れた場合です。
私が若い頃に『中間型プロテーゼ』を入れる際に指導を受けた時は、「鼻先部分は2mm以上厚くするな。鼻先を下に下げるな。これを守れば通常ずっと大丈夫。」と言われたものです。そして、その大丈夫な術式で行った方の画像を挙げます。元々はモニターではなかったのですが、この人は術後の仕上がりに感動され、「お風呂上がりに綺麗に撮れた写真があるのでブログにでも使って下さい。」と言われて、お言葉に甘えて掲載させて頂きました(画像をクリックすると拡大します)。
鼻中隔延長が10年以上前に流行り出した頃は下向き矢印の鼻に出来るということで、これは中間型プロテーゼでは不適なので使えませんでしたが、今は「(韓国)オルチャンの鼻(先端が上向き)」を『綺麗!』と言って目指す人が多いのですが、それだったら鼻先は元鼻から2mm程度しか上げなくても良い場合、わざわざ麻酔代込みで100万円以上出して、I型プロテーゼ+鼻中隔延長を受けなくても、中間型プロテーゼ1本で仕上がります。鼻中隔延長には鼻曲がりや後々の軟骨吸収など不確定要素も多い中で、中間型プロテーゼの方がずっとリスクは少ないですから。
(それにしてもモニターになって下さった人は綺麗ですね。鼻中隔延長と仕上がりが同様です。画像をクリックして下さい。)