麻酔科医ハナ:心臓麻酔
私は嘗て整形外科在籍のまま麻酔科へ出向、大学病院9カ月、市立病院6カ月の勤務をしました。最初は整形と形成などの麻酔科としては楽な麻酔の担当だったので、頭頸部再建など手元から丸見えの手術は手技を見ては片っ端からメモってばかりしていました。そのうち肝臓癌切除、肺癌切除などの麻酔科医として気を使う麻酔の担当もさせてもらいました。そして大学病院9ヶ月目にして来月から市立病院出向が決まった時、助教授が「木村先生も心臓麻酔を掛けてもらおう。」と言って下さり嬉しくも畏れ多い気がしました。心臓麻酔は人工心肺を回している際は心停止にさせているので死人にしているようなもの。他科からrotationで来た医師には普通担当させないのですが、市立病院出向へエールだったのか?と思っています。
麻酔科医ハナでも「最後にやっと心臓――」とあり、私は自分が心臓麻酔を掛けた時の事は20年以上前の事なのに鮮やかな思い出として蘇ります。
ですから後年、私が医長をした茅ヶ崎徳洲会整形外科で北里大学形成外科からrotationで来た若手医師に指導に当たる際、3ヶ月研修者は大腿骨頸部骨折のコンプレッションヒップスクリュー(CHS),6カ月研修者は人工骨頭置換までは、私が前立ちして執刀させました。きっと彼らにも整形外科研修が良き思い出として残っているはずです。