聖闘士星矢の車田正美⑨

今週号は興醒めしました。
若き車田さんの新連載の人気が落ちてきて編集長から、このままだとあと数週で打ち切りを言われるのと、任侠沙汰で友人が亡くなった話でした。ラストまであと1週というのに盛り上がりに欠き、人気作家のガス抜きとしか思えない感じです。
車田正美 九十九里浜

画像は「リンかけ」終了後の第2作目を連載する前の車田さん26歳のものです。
大変前向きで良いですね。「リンかけ」の連載5年で絵も上達し、自ら築き上げたヒットパターンを確立し、2作目で更に飛躍しようと九十九里浜の早朝ランニングで誓っているのです。

2作目の「風魔の小次郎」は、そこそこにヒットしましたが、私からしてもサイキック(超能力)が使い易過ぎる設定で、反ってワクワクする気が削がれた感がありまし、ヒットパターンに読者は飽いたと思います。

車田さん自身が顧みてのコメントに「リンかけの時は“寄らば斬る”という心境だった。しかし星矢の時は最初から、どうすればヒットするか考えて作った。」こんな感じのものがありました。

大ヒットの「聖闘士星矢」では数々の名場面がありますが、私自身は実は、星矢よりは絵も話もまだ未熟さがある「リンかけ」に今もってグッとくるものを感じます。車田さんの“寄らば斬る”の心境が伝わってくるのです。読めば、二十代の若い作者の天才性が開花していく様子を見て取れるのが感動的であるのです。