聖闘士星矢の車田正美 ⑤
自伝的漫画の第4話を読みましたが、若き車田さんは、漫画の投稿持ち込みしては“没”の繰り返しで、一時は漫画は止めたとも言っています。しかし出版社に出向いては自分の面白くない原稿を自ら破り、意を決するところで、次週に続くとなっています。
・・・う~ん、この自伝的漫画は全8話というのに展開が遅過ぎます、「星矢」まで行かず、「リンかけ」がヒットするところ迄でしょうか?一般の読者からすれば40年余り前の一漫画家志望の青年の話しは何も面白くありません(画像は第1話のもの)。
しかし私には興味深くありました。セリフの中に「ネームを制する者は漫画を制す。」これを読んだ途端、「リンかけ」で繰り返し出たセリフ「左を制する者は世界を制す。」を思い出しました(ボクシングにおける左の重要性の意味)。第4話で出てきた呑んだくれの編集長も「リンかけ」の主人公の親父そのものです。
車田さんは漫画としては絵も下手、ストーリー作りも苦手、二番煎じ、三番煎じしか描けない。本当は第1作をそこそこ描けたら、その後は尻すぼみで30過ぎたら漫画家廃業になってて当然だった人です。ど根性ガエルの作者もこれを超える作品を描けず失踪し漫画家を廃業。清掃作業員や警備員をしたし、死のうと思ってビルの屋上からまずは靴下を投げてみたら死ぬのを思いとどまった等とあります。車田さんの師匠の「侍ジャイアンツ」の作者も2作目以降は不発で今は廃業に近いです。
しかし車田さんとキャプテン翼の作者は特異な才能を持っていた様です。先週のブログの画像でも下3つのボクシングの少年、野球少年、白い鎧を付けた少年は、ポーズ・口の開け方まで同じです。つまり同じ様な絵、同じような話しを何度も出しても読者を飽かせないという才能があるのです。
私はこれを今は“水戸黄門方式”または“遠山の金さん方式”と呼んでいます。毎回同じ様な決め方ですが、これが受けるのです。私は20歳の時はこういう漫画の描き方、漫画家の生き長らえ方があるとは思いませんでした。これに気付いていたら、医学部受験をしなかったかも知れません。