硬膜外麻酔の神経支配領域(犬猫と同じ)
脊髄から出る神経の支配領域は実は4つ足で考えると説明がつきます。ですから図のように胸の一部と腕の神経が同じで、その神経に麻酔がかかれば、胸と腕の一部が同時に麻酔されます。
脚の場合も後ろ側は尻や陰部の神経のレベルに近いわけです。
人間が2本脚歩行を始めたのは脊椎動物の発達の長~い歴史からすれば、つい最近なので、神経支配は犬猫と同じなのです。
ちなみに私は医師1年目に整形外科医となって、脊椎班や外傷班を回っている時、「脊椎の手術はCold Surgeryで除圧と固定(慢性症状手術で、神経を圧迫するヘルニアや骨を切除、グラつかない様に骨移植で固定)ばかりだ。外科医はやっぱりAcute Surgery(急患手術)!」と言っては、外傷班に居た時の方が性に合っていると感じたのですが、出向病院で整形外科外来を受け持つようになると、「腰が痛くて脚が痺れます。」との診察中に『下腿外側~足背が痺れているからL5神経根の圧迫だろう。』 レントゲン取ると『第4腰椎と第5腰椎の椎間が狭く写っているから椎間板が潰れてヘルニエーションしてるはず。』そして後日、ミエロ(脊髄造影)をすると『おお、ヘルニアがバッチリ分かる!』と推理した事が画像診断で裏付けられる脊椎診断学は面白い。と思う様になりました。これは左図のDermatome (皮膚分節知覚帯)が診察の初めに有りきで、すべて理屈が通る推論が出来るからです。