日本美容外科学会 シミ、とくに肝斑の治療

肝斑の治療昨日、学術集会があり、私は外科手術の演題を聴くために出向いたのですが、最後の『シミの集学的治療』には妙に感心してしまいました。
暗くした部屋での青いスライドの表示は、深海で聴講させてくれる気分になりましたし、演者の葛西先生(葛西形成外科)の考察には深いものがあり、一般の常識的見地とは違うものを指摘されました。それの印象に残ったスライド表示&ご説明は下記でした。
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@肝斑の促進因子で女性ホルモンを挙げるのは誤っている。中学女子に肝斑は無い(女性ホルモン高値なのに肝斑を見ない)。生理が上がった50代、60代にも肝斑はよく見るし、金玉を付けたニューハーフにも肝斑を見る(女性ホルモンが低値なのに肝斑を見る)。
@肝斑の促進因子にストレスを挙げるのも間違っている。皮膚表面にストレスの何が影響すると言うのか。
@肝斑にレーザートーニングは反って有害。増悪患者多数発生。肝斑は炎症性疾患だから、そこにレーザーで刺激を加えるのはおかしい。
@レーザートーニングは業者が無知な医者に講習会を開いて信じ込ませ、機械を買わせるようにしているだけ(http://anti-lasertoning.com/)。
@肝斑にトラネキサム酸は効く。
@肝斑にハイドロキノン(HQ)+トレチノイン(Tr)+ステロイドを塗るのは、リスクがあるので行わない方が良い。
@肝斑の根本原因は「擦り過ぎ」(と言える。学会で広く認知には至っていないが)。
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座長の青木先生は講演を「デカルト的哲学のような・・・」と評されましたから、“演繹法”と言いたいですね。美容外科の講習 でデカルトとの言葉を聞くのは興味深かったです。

なおシミ疾患総括とは下記でした。
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雀卵斑:IPL Pico / QR
光線性色素斑:QR CO2 Er
ADM:QR
肝斑:保存
炎症性色素沈着:積極的無治療
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@雀卵斑は体質的色素異常症なので完治出来ないが上記で症状改善
@(光線性色素斑の)老人性色素斑は表皮の良性腫瘍性病変なので完全除去が望ましく、IPLは良性腫瘍の部分摘出に終わるのと同じで完全治癒を止めてしまうので行わない方が良い。
当院のQR(Qスイッチルビー)は10ジュールで照射。閉鎖・湿潤療法を敢行させる。
@ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)はQRまたはPicoシュアー。QR照射の患者の80~90%は1回の治療で終わる。太田母斑同様のベタ当てで色素の付いて無いところも照射。
@肝斑(上述)。
@一過性の炎症性色素沈着は何もしない。四肢の場合自然治癒に3~4年かかることもあるが、患者には「絶対治る」と励ます。これを“積極的無治療”と称する。