日本美容外科学会(111回)聖路加国際病院・大竹会長

日本美容外科学会 昨日は午後から聖路加看護大学を会場として日本美容外科学会の例会がありました。出席者は100名弱位に見えました。
パネルディスカッションの「外鼻手術」「眼瞼手術」「乳房手術」は私の関心事でもあり、聴講していて先生方の工夫と苦労が偲ばれました。過去のご発表と重なる面も多かったですが、多少の更なる工夫や違う角度での解説と言ったところで何度聞いても興味深いものです。
私は自由が丘クリニック院長の中北先生が2009年にご発表された耳介軟骨移植のループ法(中空軟骨作成:中は軟骨の小切片か軟部を詰める)に着目しており、この1年半かなり臨床応用しています。だから当院のカルテの記載で手術記録に図を描いては「←中北式」と随分書いてきました。あれは大変良いです。ご発想が優れています。今回もその話が少し聞けました。実は学会当日の朝10時から私のクリニックで行った手術もアレンジは加えていますが中北式鼻先軟骨移植です。術後に患者さんも「思った以上の出来栄え」と言ってくれたので、私は気を良くして聖路加での学会に臨んだのでした。
一般演題から外鼻手術→眼瞼手術と終わった後、会場から4分の1位の先生方が退席されました。本日帰省されるなら飛行機の時刻もあるのでしょうが、それより目・鼻と違い、乳房手術自体に関心が薄い美容外科医は少なくないという表れかと思いました。
この乳房手術の演題で乳頭・乳輪の再建に関して国際医療福祉大教授の酒井先生の手術は、酒井先生だからこそ出来る鋭い勘を要求される手術と思います。「糸巻き」状皮膚移植も慣れない医師が何となくやっても生着が難しい筈です。「スクリューフラップ」と言っても過去に壊死を起こして瘢痕ガチガチの組織を起こすのは、起こし難いだけでなくフラップ(皮弁)の先端の血流不足からの壊死を招き易いのに、酒井先生は長年の経験と勘でそれを乗り越えて来られてきたのかと思います。
なお、以前、酒井先生と個人的なお話をさせて頂いたことがありますが、先生は新潟大学医学部ご卒業後に整形外科に入局されています。河野左宙教授の時代です。そして酒井先生は「初めから形成をやるつもりだったのですが、形成外科がなかったから整形外科に入局したのですよ。」と言われていました。『嗚呼! 自分(木村)と似てる。尤も、美容外科をやるつもりだったが、母校の形成外科助教授が美容外科を毛嫌いしていたから整形外科に入局という違いはあるが…。』と思ったものです。