ヒアルロン酸による豊胸は乳腺下にボーラス(塊)に入れる
美容外科学会2日目、18日のランチョンセミナーで、ヒアルロン酸による豊胸の講演がありました。そこで演者の先生は乳腺下にボーラス(塊)に入れる事を推奨していました。私も生体組織との接触を最小限にするためボーラスの方のが良い(マシ)と思います。講演の後で私の左に、数学好きで(元)ヒゲの名医が座っておられましたから聞きますと、
(元)ヒゲ医:ヒアルは散らして入れると胸が硬くなる。
木村:接触面積が広くなるから線維性被膜が多く出来て硬くなるんでしょうね。
(元)ヒゲ医:脂肪注入でボーラスに入れれば中の脂肪は壊死して大きなシコリが出来るのに、
木村:対して生きたものではないヒアルは、
(元)ヒゲ医:乳腺下のルーズな結合式間にボーラスで入れるのが妥当なんだろう。
木村:でもせいぜい片側100~120cc、それ以上では、ゲルだから形状が作れない。
・・・なお演者の先生は、「バッグを抜いてヒアルロン酸を入れたらリップリングもなくなり感触も良くなったが、後で炎症性の腫脹、穿刺したら無菌性排液をみた。このような症例が5%程あった。」と言われましたが、私はフロアーから挙手して、「炎症性というより外傷を起因として被膜が裂ける際に出血や滲出液が生じたんだと思います。」(バッグが無くなった分、水風船みたいなものになり外力に弱い)と言いましたら、「今後の検討課題とさせて頂きます。」と返されました。私は平成2年以前のダウコーニング社の1枚膜の液状シリコンバッグを念頭に置いて喋りました。あれは数年経たないうちにバッグが破れる事が多かったそうですから。
なお余談ですが、欧米では美容整形手術では豊胸が特に盛んで(もともと目は二重で鼻は高いから)、看護師不足に悩むチェコでは、雇用の際に無料の豊胸手術をプレゼントする試みが行われたらしいです。女性団体は非難していますが、ある病院の関係者は「無料の手術を契約条件として提示した後、看護師の志願者が10%増加した」と話しているとあります。