豊胸バッグ20年後の抜去⇒破れていない&悪性リンパ腫もない

当院も実質的な開業をして20年経ちましたが、丁度20年前にソフトコヒーシブシリコンで豊胸をした人が、20年ぶりにご来院し、胸は綺麗で柔らかいのですが、『もう十分楽しめたから、素に戻りたくなりました。』こういった趣旨で抜去を希望されました。

抜いてみますと経年でのヨレは見ますが、全く破れていなかったです。手で掴んで強く握ってヒョウタン型にしても破れません。
このバッグは膜は柔らかくても4枚重ねで丈夫と知っていましたが、本当に20年経っても破れる気配すらないのには感心しました。
なおメーカーの説明には「例え破れても(実際は亀裂)ゼリー状シリコンだから昔の液体シリコンのようにバッグから流れ出るようなことはありません。」とあり、事実上は一生いれたままでも総じて問題は無いです。
・・・「総じて」と書いたのは、2018年の暮れ以後の報告ですが、豊胸シリコンバッグ(テクスチャードタイプ)を入れている患者さんに悪性リンパ腫が発生することがあるという報告があったからです。メーカーによって発生頻度が違い、3000人~1万5000人に1人の確率のようですが、手術を受けてから結構な年月(10年など)経ってからバッグの周りに漿液が発生するようです。
ですから術後何年も経ってから触り心地が変わってきたら乳腺外科医を受診し、また乳癌検診時に、超音波でその発症がないか聞いた方が良いです。なお上記の抜去の患者さんには漿液の発生など全くなかったです。