裏からの眼瞼下垂手術はミューラー筋に触れる
私は平成14年に本格的に開業する前に、大手美容外科で瞼の裏からの眼瞼下垂手術をやっていましたし、裏からの眼瞼下垂手術の術式は洋書(英語)にもカラーの図解入りで説明してあるくらいなので、世界的に認められた術式と受け留めています。
ところが日本美容外科学会に出ると「裏はダメ」「皮膚側から全切開して挙筋腱膜のみ縫い縮め、挙筋腱膜の下にあるミューラー筋に触れてはダメ」という一派がいます。某大学形成外科の(元)教授らなのですが、ミューラー筋は感覚受容器なのでここを縫うと脳の青斑核に指令が行って神経学的におかしくなり、後戻りをする等と言うのです。
しかし、又別の某公立大学形成外科の元教授は大分前のことですが日本美容外科学会の例会の際に「我々は眼瞼下垂手術では皮膚側から全切開して挙筋腱膜は開くだけにして、挙筋腱膜の下にあるミューラー筋だけを糸3本で縫っています。」と言っては非常に綺麗な症例を幾つも提示されたこともありました。
整形外科の分野で「対立する整形外科治療法(南江堂)」という題名の名著(黄色い本)があって研修医の時に買わされましたが、医療というのは山登りと同じで、北から登ろうが南から登ろうが頂上に着いてしまえば同じ。要は患者さんが満足すれば良い。という言い方をされる先生もいます。
私が行っている裏からの眼瞼下垂手術は挙筋腱膜を縫い縮めているのですが同時にミューラー筋に触れるというかミューラー筋にも縫合糸が掛かってしまうので、某大学形成外科の(元)教授らの一派からすれば、認められない術式でしょう。しかしそのことは念頭に置きつつ20年以上、裏からの術式を続けているものの、患者さんの満足度は経年的にも高く、私は今後も続けて行くつもりです。