2つの美容外科学会の統一⑥(形成外科は整形外科の一分野か)
大学の形成外科の多くは整形外科から分科した歴史があります。東大、慶応、慈恵医大の順に出来たのですが、慈恵の場合を書きます。嘗て、伝統ある慈恵の整形外科の教授選は丸毛英二助教授と伊丹康人助教授で医局がマルちゃん派とイタちゃん派に真っ二つなる状況で競ったのですが、結果は丸毛先生が敗れました。しかし丸毛先生は業績に加え、家柄も良いし人徳もあるので教授にという気運があり、形成外科の診療科を作って丸毛形成外科教授が誕生したのです。私など研修医の頃「整形外科 レントゲンの読み方 慈恵医大形成外科教授 丸毛英二」という本を見て、『なんで“形成”外科なんだ??と不思議に思いました。 丸毛先生は教授退任後は第三北品川病院病院長をされましたが、形成外科は土田先生に任せ、ご自身は“整形”外科外来を担当されていました。なお慈恵形成外科2代目教授の児島先生も、丸毛先生が形成外科の教授になったから整形外科を出たのです。もし丸毛先生が整形外科の教授になっていたなら、児島先生も慈恵の整形外科にそのまま居て手の外科を究めた筈です。
整形外科の名著、片山整形外科を読んでも、整形外科では昔、唇列や頬骨骨折など現在、形成外科がメインで扱っている分野もカバーしていたとあり、昔は形成外科は整形外科の一分野と言えたかも知れません。この幻惑は医学部卒業前2年間、入局先筆頭1番は形成外科で考えていた私にとって都合よくあったのでした。