成長因子薬剤=フィブラストスプレー(bFGF)は注射禁止

再生医療として顔のしわ弛み、凹みの改善治療で本人の血液を遠心分離して血小板血漿(PRP)を顔面に注射するのは効能の持続性が短いにしても医療として容認されるものです。
しかしこの持続性の短いのを補い長期持続性を持たせる目的で科研製薬のフィブラストスプレー(bFGF)を混入させて行うのは、以前、製薬会社が特別に、止めるようにと「適性使用に関するお願い」を各美容クリニックに送付していますのに、強行を続けているクリニックがあるのには強い懸念があります。この書面に「注入部の硬結や膨隆」「本剤は外用薬であり、注入投与の有効性・安全性は確立されておりません。」と明記されているのはbFGF自体のことであり、この薬剤に同梱されている外用する際の溶解剤中の消毒薬を指している訳ではありません。ファイブラストスプレーbFGFの注射は硬結と腫れで危険

美容クリニックの中には患者さんへは危険性を過少にしか告げずに「優れた再生医療」などと唱って高い費用を取って行っているところが少なくないです。しかしこのフィブラストスプレー(bFGF)には随分以前から画像のように赤書きで「禁注射」と書かれているのです。私は日本美容外科学会でフィブラストスプレー(bFGF)を堂々と皮下注射することを発表している医師に「先生は、バイアルに貼ってある赤書きの『禁注射』を患者さんに見せて同意を取っているのですか?」と質問すれば、「適応外治療であることは説明しています。」と返答されました。つまり赤書き『禁注射』は見せていないものと解されます。

日本美容外科学会(JSAPS)は微妙な言い回し「行わないことを弱く推奨(提案)する」と表明していますが、なぜ「(動物実験で安全性が確立するまでは)強く禁止する」と表明しないのですかね?

本来は科研製薬の「フィブラストスプレー」は皮膚の擦りむき傷や火傷へのスプレー剤で、皮下注入は薬事承認を得ていません。私は時期を1年以上空けて科研製薬に3回電話していますが、注射としての治療には、毎回強く、「行わないで下さい。」と言われています

そんなことを聞くのは時々、(某)美容クリニックで「成長因子を注射してもらったら、こんな顔になってしまいましたが、治せませんか?」と言われる患者さんが来院されるからです。
もちろん上手く結果を出せた患者さんもいるでしょうが、不具合の生じる例が少なからずある中で、患者さんからデータを取りながら行うのは実験のレベルです。
なおその不具合が生じた患者さんたちは施術してくれたクリニックがアフターケアしてくれないから仕方なく当院に来られた訳ですが、「頬の凹みに注射してもらったら、ちょうど良い平らを過ぎて硬いコブが出来てしまいました。」という人に私は脂肪吸引を行ってみました。しかし少ししか良くなりませんでした。
またステロイド(ケナコルト)を打って治そうとしたことがありましたが、「一過性にマシになったように見えて後で元のコブにもどりました。」とも聞かされては、お互い辛い気持ちになったものです。

やはり顔面へのフィブラストスプレー(bFGF)と血小板血漿(PRP)の混合注入、または生理食塩水だけに溶いた単独注入は、今のところ危険性は、それなりに有るものと考えた方が良いと思います。