バイエル社が医者の代わりに論文代筆
ニュースを読んで「激しいなあ。」と思いました。
製薬会社は創薬(新薬を開発)に数十億~数百億も投資をしますが、その出来上がった新薬は効能が優れていて副作用も少ないというデータを臨床医から得たいものです。また大学医学部教授からのお墨付きを得たパンフレットを作り販売促進に繋げたいです。そしてその薬を医者にどんどん使って貰いたいのです。
そのため昔は製薬会社の医者への接待攻勢で、結果的なバーター取引は横行し、医局費としての献金も多かったものです(流石に医師個人へ金を渡すのは、なかなか無かったでしょうが)。
以前の製薬会社のプロパーさん(今のMR)は、学会発表のスライド作りや論文の収集だけでなく、食事会、飲み会などの 場を設けて全額費用負担してくれたり、病院でのイベントのお手伝いや日曜のゴルフのお伴、また「このブランドの財布買ってきてくれ。」と言って金を渡せばデパートで買ってきてくれたりと小間使いのようにも何でも医者のご機嫌取りをしてくれたものでした。
だから医者が投薬後に記述する製薬会社へのアンケート調査でも、接待攻勢でバイアスが掛かって、薬の効能は実際以上に良く、副作用は控えめに書かれていたものです。そのアンケート結果は薬のパンフレットに反映されていました。また、医者が病院で使う薬も「接待を受けている会社の薬から優先して使え!」という流れでした。本当に歪んでいましたね。
今は、嘗ての激しい接待攻勢は規制でそうそうやれなくなっています。そしていつのまにかプロパーさんという言葉でなくMR(医療情報担当者)に変わりました。
しかしこのニュースのようにバイエル社のような一流企業でも、そのある部署において医者の代わりに論文を代筆で書いていたと読めば、“規制”で収まるものでなく、激しさは今も以前も同じなのかと思います。