脚延長:基礎から臨床へ
昨日まで開催された日本創外固定・骨延長学会で、安井夏生先生の教育講演がありましたが、ここでも興味深い指摘をされています。
「Distraction Osteogenesisにおいては骨延長ばかりが注目されるが、同時に破骨細胞の機能が著しく亢進していると思われる。(中略)すなわち仮骨延長は著しい速度でリモデリングを受けていると考えられる・・・」
確かにそう思わせるものがあります。骨折の治癒で例えば長管骨が「くの字」に変形治癒しても2年くらいするうちに真っ直ぐな骨に変わって行きます。これは破骨細胞と骨芽細胞の両方の機能が旺盛に働いているからです。
私が嘗てこの日本創外固定・骨延長学会(当時は研究会)で発表した延長中のサーモグラフィーでの下肢温度計測でも、延長開始しばらくは延長部すなわち仮骨形成部の温度が上がっていたものでした。細胞の機能亢進の表れでしょう。
つまり脚延長とはチューンガムでも伸ばすように組織が単純に伸ばされるのでなく破壊と増殖を盛んに行いつつ増殖が勝り、骨においては全く上下の骨と同等の太さ骨を作ることが出来、筋肉・神経においても3割くらいは組織増殖を観るというものです(3年前の学会では下腿のヒラメ筋においては5割の増殖を観たとの報告もあります)。ですから2年前の学会の会長が学会誌の冒頭で「イリザロフ法は20世紀のノーベル賞・・・」と書かれていたのには、私も同意でした。
ただ美容目的で健常者の脚延長をやって確実な成績を出してくれるところは大阪のスカイ整形外科しかないようです。中国やセルビアなら安いからと渡航するのは冒険過ぎると思います。