アゴ骨切り・アゴ骨削りでの血管損傷
単にアゴを短くする際には写真の様に太めの血管から遠いので、大出血はあり得ないのですが、側方を奥まで骨切り・骨削りしていくと顔面動脈があるから注意が必要です。この血管は切ってしまうと勢いよく血が出るものです。
ただ幸い、この部位の下顎骨の骨膜は剥離が容易で、骨膜ごと顔面動脈を骨から外せますので、アゴの側方(サイド)の手術で、この血管を損傷したとは聞かぬものです。
もっと奥には頸動脈の分枝の外頸動脈がエラの角の近くを通っていますが、アゴの手術とセットでエラ削りをする際には注意しなければなりません。ここでも骨膜下でキチンと剥離し骨を露呈させるようにすれば、大丈夫なのですが、エラの角は咬筋付着部が結構しっかりくっ付いているので、剥がし難く、剥離が雑ですと外頸動脈の分枝の小動脈を損傷して容易ならぬ出血をみることがあります。
美容外科クリニックでこのようなことがあれば、どう対処するかですが、要はガーゼを詰め込んで圧迫タンポンにしてしまえば止まりますし、入院させ翌朝ガーゼ除去して傷を縫合すれば何もなかったように済ますことができます。そのような学会発表も今年1月に大森系美容外科学会(JSAPS)で某先生がされていました。