顎のオーダーメイドプロテーゼで前だけに出す(小顔効果も)

本日ご紹介のモニター様は、顎のシリコンプロテーゼで後退していた顎を前に出した人で、前回は分り易い横顔でしたが、今回は正面顔を提示させて頂きます(画像はクリックで拡大)。
ご覧になって分かりますのは、上から来る光が術後は顎で反射するようになって、お顔にメリハリがついたことです。
それと前に出すことで顎が細くなったようにも見えます。これは軟部組織が引っ張られて細く見えるのもなくはないですが、鼻の低い人が隆鼻術で高くすると鼻が細く見えるのと同じ効果からです。

また女性の場合、顎は下に延ばすべきでない人が殆どです。顎が大きいとか長いというのは今の美意識では女性に不評です。

しかし他院様で顎のシリコンプロテーゼ手術を受けられた人から時々、顎が長くなったと言われることがあります。それを抜いて入れ替えをすることも少なくないのですが、大方は既製品のプロテーゼを大して加工もせずに入れてあるものです。
なぜ既製品のプロテーゼを入れるのでは長く見えるかと言いますと、顎の骨の後退している人は、顎の骨の前面が斜め下向きなので、既製品をそのまま入れると斜め下向きに延びてしまうからです。

それと、この十数年年くらいはVライン形成とかの言葉で顎がキュッと尖った形を好む人が多く、現在流通している顎のプロテーゼは加工せずにそのまま入れると顎に幅が出てしまう傾向です。男性にも使えるとの意向で、その形での販売なのかと思ってしまいます。

それで既製品を材料として使う場合は、プロテーゼ後面(顎骨側)を削って顎が下に延びないようにし、また顎が幅広にならないように両サイドも削り込みを入れるのですが、すると元々のシリコンプロテーゼの前面後面、両側とどんどん削ってしまうので、もう当院では最初から既製品を用いず、シリコンブロックから私が削り出して作る完全オーダーメイドプロテーゼを入れています。お1人お1人に一番適合させられます。

さて術後のことですが、粘膜切開からプロテーゼを入れていますので、縫合を溶ける糸で行うのですが、必ず軟膜下も縫合しますから2層、3層と縫合します。それで口腔内雑菌が傷口から逆行性に入るとかの化膿はないと思って下さい。今のところ化膿された人は当院ではゼロで全く居ません。

術後の圧迫固定ですが伸びる布製テープの重ね貼りで手術部を圧迫固定します。出血防止・腫れ防止のためです。これは最低でも術後72時間(丸3日間)は付けて頂きます。

術後に人に全顔をみられても不自然でなくなるのは術後1週間を目安として下さい。なお完全に腫れが引くというのは大分先なのですが、1週間で、まあまあ引いて不自然な感じを人に与えないものです。

なお、この手術では余ほど大きなプロテーゼを入れない限り、神経麻痺や大出血はないと思って下さい。手術に失敗などあるとすれば、剥離が不適切、プロテーゼの加工が上手くないとかで、術者の腕に問題がある場合であり、一定の確率で医療として避けられない不確定要素でトラブルが起きるというものはないです。

そしてまた書きますが、プロテーゼを入れる部位の正しいのは骨膜「下」でなく「上」です。顎の骨は鼻の骨と発生学的に違うためか、プロテーゼを骨膜下の顎骨に接着させると骨吸収が起き、骨が脱灰して行きます。レントゲンを撮ってみればカルシウムが抜けて黒っぽい骨になっています。そのためせっかく入れたプロテーゼが骨の中に沈んで行きます。
対して骨膜上にプロテーゼを置くとそれが大分防げるのです。