埋没法は溶ける糸ではダメか?
平成2年に高知で日本美容外科学会(JSAPS)がありました時、この題名の議論がありました。白壁美容外科(当時)の河田先生が溶ける糸でやったこともありますが・・・。等と発言されたくらいで、他の演者の先生は「使ったこともない!」との発言でした。
皆が否定的だったのは、溶ける糸が十分長く持たないからです。溶ける糸で長く持つのはPDSですが、実際糸がほぼ溶けきってしまうのが半年かかるにしても、これを埋没糸に使った時、半年はラインが維持、もしくはこれでクセ付いてしまうかもさえ言われないのは、「抗張力」はもっと早く失われるからです。抗張力とはピーンと張った緊張度ですが、PDSでさえ、2ヶ月もすれば糸が加水分解で糸がグズグズ、ボロボロとなっていくのです。
経験的に普通の溶けない糸の埋没糸を術後1年で抜いてもラインが浅くなる人は何人も見てきましたから、2ヶ月程度で抗張力が失われるのでは話にならないのです。3年保ててその後溶けてなくなるような糸は今後も作れないでしょうから、埋没法は今後とも溶けない糸でやるのが王道でしょう。
そう言えば美容外科学会(JSAS)で糸のリフトの糸をPDSにてやってみたけど、溶けない糸と比べて、術後2ヶ月で差がついてしまったと聞いたこともあります。やはり切らずに糸だけで効果を出す手術は、糸が溶けては成績がPoorと言えるでしょう。