冨士森先生のファイスリフトの発表に感銘を受けた
先週の美容外科学会で京都の冨士森先生が頬のフェイスリフトのデザインとして、Wを発表されていて妙に感動しました。(右頬の場合、もみあげを軸としてWを右周り150度という感じでしょうか。)発表の骨子は「目尻に向かう横の切開は、いずれ非常に綺麗に治る。」というものですが、今の私も高齢者には目尻から横に向かう切開をファイスリフトで時折行います。
元々は平成6,7年頃に安見先生の奥様が美容カウンセラーをしていた関係で、「吊り上げの上の傷を途中から横に向けても、その傷は消えたように綺麗になるわ。」と言われてはいたのですが、どうも顔面に横の傷を付ける気になれず、10年余りはフェイスリフトの際は、「それをやったら効果的に引き上げが出来るものの、なかなか同業医師でそこを切ってないじゃないか!」と思っていました。
ところが何年か前の美容外科学会(JSAPS)の例会の際に、冨士森先生が口頭ですが、それを口にされ、大森先生も同意したような発言をされましたので、「やっぱりやって良いんだ!?」という思いがよぎりました。
そしてそれを私が一番最初に行ったのは、下眼瞼切開+ケーブルスーチャ―の際です。ケーブルで皮下軟部組織がググッと上がると下眼瞼縁に多量の余剰皮膚が来ます。それを切り取るのですが、高齢者ですと結構な量なので、目尻外側1cmでもまだドッグイヤー(Goodyearではありません。犬の耳、つまり歪んで端が尖って上がるものです。)が処理できません。それで「いや、これは、もっともっと切らねばならん。」と思った時、安見先生の奥様や冨士森先生の御発言が思い出され「切って良し!」と、もう髪の生え際と目尻の中間より外側まで切開が伸びたのですが、真皮縫合をキチンとやったと言うのもありますが、後々は凄く綺麗に目立たない傷に仕上がりました。
そこから私はこの目尻から又は目尻に向かう横切開を時折使うようになったのですが、腫れが少ないのに効果的と、高齢者向けには、なかなか良いと思っています。
今回冨士森先生が、何十年も前から行われているのでしょうが、それを発表された時、座長が「我々が追及している手術の姿勢と大分異なるものですが・・・。」というニュアンスの発言をされました。そう古典的という意味でしょうが、古い=悪いではなく、古きに開発されて、今に生きる技術。と思います。ただ重ねて言いますが高齢者の患者さん向けです。