日本救急医学会に参加
本日はすみませんが休診とし日本救急医学会に出席しました。偶然ですが先週、日本美容外科学会があった東京国際フォーラムでの開催でした。
講演の演題で表現として巧みと思ったのは、「CTは“死のトンネル”から“救急へのゲート”になりうるか」です。確かに救急車で重傷外傷の人が運ばれて急いで単純レントゲンやCTを撮影し緊急手術となっても助けられずに早々に死亡ということは幾らでも在りますし、中にはCT撮影中に亡くなるということもあります。生死の分け目が僅か1分の違いで決まることも多いですから、この演題で、東芝メディカルシステム社が開発したHybrid ERを使うことで、救急初期診療・手術・IVRを同一寝台で可能にし迅速な初期診療ができると謳っているのは大変良いと思いました。
また別の演題、「救急医療に求められる痛み・不穏・せん妄(PAD)のマネジメント」では、なるほど、ICUに居る患者さんなど長期の人工呼吸管理を余儀なくされているところへ、患者さんの不動化の理由で漫然と沈静・鎮痛管理が行われているのが常態化していますが、その沈静・鎮痛剤(特にベンゾジアゼピン系)それ自体が「せん妄」を誘発・助長するので、患者さんの転帰に深く関わっていることを指摘しています。
そしてこれに対して、演者の主張は個々の患者さんに目標とする沈静レベルを明確化し、薬剤投与のプロトコルや鎮静・疼痛スケールを活用するなど、施設内で共通認識を持っておく、定期的な評価を下し、1日1回鎮痛剤投与量を調節し、意識レベルの確認と神経学的診療を行うことを推奨し、可能な限り浅い沈静レベルを設定する。医師や看護師がGlasgow Coma ScaleやJapan Coma Scale、瞳孔観察以外にRASSやCAM-ICUなどの中枢神経ツールを活用していけば患者さんにとって非常に有意義で、それらの活用を支援・評価していくことが救急医に求められる。・・・誠に意義深い演題ですが、私が思うのは、現場は今でもキリキリ舞いで人材は疲弊している中で、人命救助が最優先しつつ、そこまでやれるのか?ということです。