大学医学部は入試では理系だが、卒業後に大学医局へ入局したら“体育会系” 

 私は大学の医局制度に辟易していた時、ポリクリ(病院実習)で回って来た学生に、「世の中には文系、理系などという言葉があるが、医学部というか医者は何系と思う?」と尋ねれば、学生は「それは・・・理系の枠に入るんでしょうが、勉強は暗記中心だし患者さんとの対話力も求められるから文系的でもありますね。」などとの尤もらしい答えを聞いたりもしました。
ですが私は、「それは学生の見解だね。医学部というか医者は大学医局に入局したら“体育会系”だよ。封建的な年功序列の上意下達型の縦社会で生きて行くピラミッドの構造だ。なお、隣の医局は外国よりも遠いよ。」と医学生たちが新しく回って来る度に何度も言った覚えがあります。
医局とは教授を頂点とした人事組織ですが、旧弊な権力構造で、入局したら教授や医局長に逆らったりしない限り、馬鹿でヘマばかりしても医局が庇ってくれ、専門医や医学博士も年度順に取る事が出来ます。また市中基幹病院への出向の翌年は暇で腕も磨けない農村の病院に出向させられたりしますが、これらは「命令」です。
入局1,2年目は、先輩医師の業績作りの下働き、クラークや看護助手がやるような雑用ばかりで 寝る暇なくて 給料少なくて、手術では第3助手で体を斜めにして半身で筋鈎引きでロクに術野も見えなかったぞ(怒。 ・・・という感じですが、医局に10年余り居れば、まあ良くも悪くもあったが、ヌクヌクと医局に守られた様でもあった。と述懐する医師も多い訳で、医師の皆が医局制度を公然と非難している訳ではありません。
しかし医師個人が自らの技量に応じて基幹病院に雇ってもらう、社会一般の「市場原理」に全く反しているのが医局制度です。(続く)