美容外科は形成外科の一部じゃない(高須克弥先生:1994)

 私は2つの美容外科学会雑誌は昭和56年以降全て読んでいます。1994年版のJSASの巻頭言に高須先生の文章があり、以下はその表題と骨子の内容の転写です。
なお私が2年余り前にブログで学会の統一に関して①~⑭まで連載した⑤はここに関連していると思います。

美容外科は形成外科の一部じゃない
このごろ一部の美容外科医たちは「美容外科は形成外科の一部である」と、唱えているそうだ。さらに自分たちで,「マル適マーク」なるものをつくり形成外科出身でない医師を美容外科医として不適格者であると誤解されるような表現をマスコミに対してするのをよく耳にする。さらにおろかなのは規制を撤廃して自由化するのが日本の趨勢なのに自分から望んでいろいろな規制をつくろうとしている。このままでは民間から発生した本当に自由な医学ををだめにするのではないかと心配だ。日本では形成外科ができる以前から美容整形手術の歴史があり、私の祖母など七十年も前に隆鼻術や重瞼術を行っていた。世界の著名な美容外科医たちも皮膚科、整形外科、婦人科、眼科、耳鼻科などのあらゆる専門家の出身者がいる。(中略)
形成外科は整形外科から独立して新しい教室をつくったわけだが、整形外科の先輩達は「形成外科は整形外科の一部であり,整形外科医でなければ形成外科医になるべきじゃない」なんて失礼なことは言わなかった。(中略)
普遍的な表現をすれば美容外科と形成外科はアスレチッククラブとリハビリテーションセンター,グルメの行くレストランと病院給食ぐらい違うものであると思う。
美容外科が形成外科の一部であるなら,ちょうちょととんぼも鳥の一種なのであろう。
現在最も患者さんの多い脂肪吸引,注入技術などは婦人科や小児科医達だからこそ発想できたのだと思う。