なぜ美容外科というか美容整形の医師をやっているのか?
(続き)私は伝統的な価値観に従って生きるのが正しいことの様に子供の頃は思っていましたが、高校生の頃にそうでもないと思い始めました。
皆と同じ生き方をすれば人から非難はされませんが、個人個人には色んな考え方や生き方があるはずで、それを曲げるのでは自己実現になりません。
しかし自分らしく生きる事は他者との隔たりを生むので孤立感、疎外感を感じ、精神的に耐えきれず、自我を捨てて集団に従属する方が気が楽だし、従属するだけでなく既存の権威を振りかざす立場を取れれば、かえって賞賛されもします。これが私なりの解釈の『自由からの逃走』です。E.フロムのこの著作の真の理解には至りませんが、著書の中に、『権威へ従属している人間の成長と自己実現が阻まれるとき、一種の危機に陥る。この危機は人に対する攻撃性やサディズムに向かう』とあり、22日のノルウェー連続テロのブレイビク容疑者は、これでしょう。彼は自らを「キリスト教徒で保守主義」と紹介。フリーメーソン的思想、ボディービルに興味。ブログで、単一民族による支配の優位性を強調。日本や韓国を「多文化主義を受け入れなかった国」と記述。ツイッターでは英哲学者.ジョン・スチュアート・ミルの言葉を模倣し「信念ある1人の人間は利益しか考えない10万人分もの力に値する」とあります。
破滅的で、後に繋がらないテロを起したので人間的には未熟とは思いますし、残虐非道さは許されないのですが、実はたぶん純粋で敬虔な心情の持主と察します。権威に従属するマゾヒズムと権威を振りかざすサディズムを併せ持った精神構造なのだと思います。
私にとって歴史と哲学は35年前から課題であり、叶うなら私は漫画家として、『権威への従属とそれに反する自由な自己実現の相克』等々を描いて行ければ本当は一番良かったのですが、私には石森章太郎の10分の1も漫画家としての才能が無いのを悟っています。それで美容整形を行う医師として自由な自己実現を求める人を助ける実践哲学者であろうとしているのです。(続く)