形成外科とは隔絶した現実の美容外科

5月27日 「ここに形成外科とは隔絶した現実の美容外科があるのです。」と書きましたが、実際に美容外科クリニックの【美容外科医:求人】を見ていますと、下記のようにあります。
●大手A 資格:問わない。経験年数:不問。年齢:35歳まで。 必要な能力:コミュニケーション能力・協調性。
●大手B 医師免許、2年間の初期研修終了済み、転科可(ゼロから教えます)。初期研修後の医師大募集。
・・・なかなか形成外科の勤務歴のある方を優遇します。とは無いのです。それは①二重埋没法、②プロテーゼ物(鼻・顎)、③豊胸バッグ、④脂肪吸引・注入・・・この4つで患者さんが受ける手術代の半分以上を占める大手が多いからと思います。そしてこれらに形成外科の知識と経験は殆ど無関係です。また他の手術として、効果程々のフェイスリフト、目頭切開三日月法、効果の少ない下瞼切開、鼻翼縮小、唇縮小も、細い糸で細かく縫えるならOKでしょう。これにヒアルロン酸・ボトックスの注射、脱毛や肌へのレーザーで総売上の大半が作れるのです。さて上瞼切開や続く挙筋短縮(眼瞼下垂の手術)、となると少し技量がいるのですが、実はこの手術は形成外科10年やっていても、殆どの形成外科医は極少数例しかやったことが無い事が多いのです。「いや、それなりにやったよ。」との返事が聞けた場合、実は「バイト先の美容外科で。」などというくらいです。形成外科で切開法の二重をやるのは例えば「顔面外傷の人が来てね、瞼に傷がついていて、それを隠すために切開法で二重にしてみた。」などという再建外科の一環でやるケースなのです(続く)。