形成外科は担当臓器を持たない手技に特化した科
整形外科と形成外科は名称が似ていますし、昔は成形などと言う言葉が真面目な教科書にも使われていたりして、医師でも内科医なら似たような診療科目と気分的には受け取りがちですが、形成外科が他の診療科科目と大きく異なるのは、『担当臓器を持たず手技に特化した科』であることです。それが形成外科医が並みの民間病院への就職の可能性を殆ど無くしている理由でもあります。
手術手技だけなら何科だって、それなりのものがあるのですが、形成外科医の手技とは、他科の医師よりハイレベルで綺麗に治す事を要求され、それを実現できて初めて「流石は形成外科!」と褒められるもので、傍から見て「何だ俺たちがやっても同じ位のことは出来るぞ。」となったら、その形成外科医の存在価値は認めてもらえないのです。医師として厳しい立場に立たざるを得ない科と思います。他科なら並み以下の技量でも「おまえ一応医者だからな。」ということで勤め先・バイト先など確保でき、医師の間ではこれを「つぶしが利く」と言いますが、形成外科とは、つぶしの利かない科なのです。
医学部卒業前、もしくは卒後に来院した医師に進路指導をするにあたり、この事は強調しています。しかし「それでも形成外科をやりたいんです!」という人なら、きっとモノになる未来が待っているのだと思います。音楽家とか芸術家などと同じと思います。