下顎骨削り+バッカルファット切除
本日ご紹介の患者さんは下顎骨削り+バッカルファット切除をして術後3ヶ月の人です。「下顎骨」と書いて「カガクコツ」と読むのであって「シタアゴボネ」ではありません。
つまり顎~エラまで骨切り・骨削りを行っています(画像クリックで拡大)。
見て頂いて分かりますのは、顔の下3分の1がVラインの形状になっていることです。
顎骨を切り落としで短くしただけでは平べったい男性的な顎になりますから、両サイドをエラに向かって切り上げているのですが、実際は大変というか骨の中のオトガイ神経の通り道(下歯槽神経管)スレスレで切って行くので細心の注意が要求されます。
術前のレントゲン写真で下歯槽神経管の走行を確認しておき、若干余裕を持って骨切りし、裏から眺め見て、もう少し削ってスレスレまで削る様な手術を行っています。
そんな神経ギリギリまで削ったら「神経麻痺は?」と言いますと、「必ず一過性には知覚鈍磨が生じます。」と答えざるを得ません。しかし徐々に戻ってきます。
この一過性の神経麻痺を恐れて神経から随分離れた部分の骨切りで済まし、少しの削りで終わっていると患者さんの満足が得られません。
多くの女性と術前カウンセリングをし、一番綺麗な顔になるためなら「一過性の神経麻痺は仕方ないし、最終的に少しの皮膚の感覚が戻らなくても良いです。」と言われるものです。昔は私もこの会話には悩んでいたものですが、やはり、この神経スレスレまで削るというのが良いのだと、今は悟りを開いています。後々生活に困るほどの麻痺は残らないのが通常です。
手術の合併症としては、上記の神経麻痺、また骨削りは骨髄が露出するまで削りますから、出血性の腫れの2つがメインです。当院ではこの出血性の腫れの対策のため、術中の充分な止血操作や止血効果のある薬剤の点滴に加え、ドレーンを入れて翌朝まで入院してもらっています。
麻酔のことだけ考えれば、今の全身麻酔の薬は覚めが良いので、当日の夜に帰宅できなくはないのですが、動き回ることで出血し、ドレーンもないのでは結構な腫れになってしまします。
ですから私は腫れ対策メインで入院を原則必須としています。もっとも家族の関係で、どうしても当日夜までに変える必要がある人は入院無しとすることもあります。
他の合併症は骨が小さくなった分、余った肉の弛みで二重顎っぽくなり易いのですが、若い人ほど自然回復が望めます。半年以上経ってもこの二重顎が目立つ場合はその部位の脂肪吸引、十分効果を出すなら超音波メスを使った脂肪吸引が有効です。
さて、この人は素晴らしく綺麗な女性で、3ヶ月検診の際にお会いした際は、美し過ぎて私はクラクラしてしまいました(本当です)。