鼻中隔延長の再手術

ご紹介のモニターさんは他院で鼻シリコンプロテーゼ+耳介軟骨単独での鼻中隔延長を受けられましたが、特に鼻中隔延長での変化の乏しさにご不満で当院受診されました。鼻中隔延長の再手術 肋軟骨

耳介軟骨は柔らかいので、元々の鼻の皮膚が柔らかく、過去に注射も含めて何も鼻を弄って行けなれば好結果を出せることもありますが、例え全く初めての手術でも鼻先の皮膚が硬めですと伸展が十分出来ず、延長不足で変化に乏しいことはあります。
または無理に高さを出そうとしたら板状に置いた耳介軟骨が曲がってしまい鼻先が曲がってしまうという合併症も起き得ます。

鼻中隔延長の再手術は一度弄った組織に線維化を生じて癒着しており、初めての手術より皮膚および皮下組織の伸びが悪く、初回より明らかに難しくなります。それでこの人の再手術は硬くて支持性の高い肋軟骨を持ちいました(画像はクリックで拡大します)。

結果は良好でご本人の満足度も高いです。

鼻中隔延長手術の留意点(リスク)を下記に挙げます。
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●鼻の奥の鼻中隔の部分まで展開しなければならず、手技的に難しく、視野を得るためには鼻柱を横に切るのも併用するオープン法が一般的で、鼻の穴の中の切開だけで行うクローズ法では視野が十分得られず、移植軟骨の固定性が悪く鼻が曲がる原因の1つと成り易い。
●鼻が曲がる際に鼻腔内で曲がるとその部分の通気が悪くなるのを感じることがある。
●耳介軟骨単独手術は採取部の傷が目立たないのが良いが、効果が十分出せない事も多い。
●肋軟骨は胸から採取した傷は何年経ってもそれなりに分かる(消えたに近くはならない)。しかし支持性は高いので十分な効果を出す際や再手術では選択肢になる。
●保存軟骨というメーカーから販売されている豚の肋軟骨は化学処理され安全無害で自分の胸に傷を残さないメリットがあるが、他家組織移植なので将来的な吸収率が自家組織移植より高いかもしれない。ここは学会で発表例がなく、それを使う医師同士の話し合いでは「石灰成分の多いような(つまり骨に近い)軟骨は吸収が目立つが軟骨だけで出来ている場合は成績が良い」との話も出るが意見に差がある。しかし総じて良好な成績を出す。
●鼻中隔延長でしっかり鼻を高く長くすれば鼻先の皮膚が薄くなって皮下の軟骨が透けて見えるようになることがある。その予防のために移植軟骨と鼻先の皮膚の間に軟部組織を置くのが一般的だが、それでも2~3年後に、やっぱり透けたようになったと言われることがある。従って丸っきり外人風とかは元々日本人には無理があるのでハーフのようなくらいで留めておくのが無難。
●上述の鼻先の軟部組織移植は軟骨より吸収率が高いので抜糸時から比べれば3~6か月の間に鼻先の高さ長さが少々後戻りした感じになるのが普通である。
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