透明になった埋没糸(二重埋没法の)

埋没糸透明  この4本の透明の糸は埋没法の糸です。昨日「通常、うす青で1~2年で脱色し透明になるのです。」と書きました糸です。
 埋没法の手術を受けて10年を経て「瞼に糸が入っているかと思うと、ずーっと悩んできました。」と抜糸を強く懇願された患者さんがいましたが、2度ほど断りました。私は「透明を抜くなんて本来不可能です。」と言いました。しかしこの人は私から別の美容外科手術を何度も受けていた人で、私への信頼が厚く、結局引き受け、やっとの思いで抜きました。抜くテクニックは、瞼を指で上下左右に動かすと皮膚の動きに微妙に攣れた感じのところがありますから、そこにピオクタニンで印を付け、皮膚に局所麻酔を1滴うち、1mmの極小切開を行い、肉眼で見えなくてもマイクロ摂子で掴んだ時、ナイロンのような感触を得たら引っ張り出すのですが、大抵ハズレです。30~100回位引っ張り出した時、偶然掴み出せて「嗚呼、やれやれ~。」という気持ちでハサミでカットし抜き出すようなものです。
 過去に透明埋没糸を抜いて来たのを思い出しても、半端でない時間が掛かっています。8年前の糸だったと思いますが片側2本両瞼で4本のところ、4時間かけて3本抜きましたが、瞼がパンパンに腫れて抜糸操作が続けられなくなり、2週間後に残った1本の糸をやっとの思いで抜きましたが2時間掛りました。
このように何年も経った糸を小さな切開から抜く操作を行っても侵襲が大きく結構腫れる。1mmの穴も摂子の出し入れで裂けて、もう少し大きくなり傷として残ることもある。そして抜糸しても年数が経っているから二重は変わらないというものです。・・・「糸が入っているのが嫌」それだけで行うには割に合わないと思います。私が患者さんに「指で触れて分かるようなものでないし、レントゲンにも映らない、眼球に悪い事もないのだから、気にしない方が良いんじゃないですか。」と言っても、納得しません。そこにその患者さん心理の辛いところがあります。 
追伸:7月23日 本日13年前に入れた埋没糸を抜くことになりました。患者さんも私も相当覚悟していましたが、予定していた5本の糸が1時間半で全部抜けました。5本とも完全に透明になっていましたが、この人の場合、糸が浮いてきて表皮を突き上げるような外観をしていましたから、奥に食い込んだケースとは次元が異なったわけです。と言っても麻酔を打った途端、その浮いた外観は分からなくなりましたから、全部抜き終わるまでは神妙な境地でした。外側の抜糸操作をしている時に、腫れが内側にも及んで、表皮を突き上げた外観が失われて行く時、焦るものです。