医学部入試で差別が無くなれば、破壊の後に創造が来る
2008年に当時の麻生総理大臣が、医師に関して「はっきり言って、社会的な常識がかなり欠落している人が多いと思われる。」と述べていますが、それは当然です。
子供の頃から勉強勉強で、現役か一浪で入学すれば勉強から逸脱することもなく、医学生の頃も勉強勉強で、医師になっても、同じ調子で仕事仕事で60歳くらいまで常識的な生き方をしていませんから、ベテラン名医も世間話になると、ぎこちない人は多いです。
しかし患者さんは医師に常識人であることを求めてはいません。病気や怪我で最善の治療をしてくれれば良いからです。
さて医学部入試で女子や高齢者(社会人経験者)がたくさん入って来るようになると、現役か一浪で入学した男子も含め、今までのように60歳くらいまで愚直に週80時間以上の仕事を続けるのをしなくなるように思います。
女性の場合は妊娠・出産・子育てが、それまで勉強と仕事一筋だったのを違う方向に目を向けさせることになりますし、社会経験を経てから医師になる人は、常識があるだけに、純粋さだけで患者をさん救いたいと夜遅くまで居残ったりはせず、休日出勤手当が出なければ、そんなのおかしいと日曜に患者さんを診に来たりはしない傾向です。現役か一浪で入学した男性医師も、それで目が覚めるというものです。
ですから私は医学部入試において性別年齢の差別がなくなれば、医師不足が増すと思います。ただそれが働き方改革に拍車を駆けてくれるので、医師でなくても出来る仕事をコメディカルに割り振るとかAIの導入を急がせることに繋がって行くと思います。
ただコメディカルに割り振る仕事もAIの導入で裁ける仕事も限定的ですから、やはり命に関わる分野での医師不足は進み、今の様に低治療費で高水準な医療を提供するという世界一のモデルは崩れ、高治療費で高水準な医療を提供するというアメリカ型の医療に変わって行くのではないかと思ってます。
入試操作が無くなって卒後は目の覚めた医師が増えて行く中、それでも学生の頃に1日10時間以上の勉学に励んで来た者は、医師としてもそのスタイルを奴隷奉公とは違う、実になる形で続けたいと、週80時間以上で働くのを厭わないでしょうから、そこに週40時間以下でしか働いていない医師とは歴然とした医療技術の差が生じます。
この差での診療報酬の差が現状はないから、低レベルの時短パート医も身の振り方次第で高時給を貰える歪みが生じています。このおかしな共産主義みたいな仕組みを壊し、提供する医療レベルの高低が支払の高低に相応して行くのが望まれます。
東京医大や順天堂、昭和の入試段階での調整は、医療崩壊を避けようとした理解できるものでもありますが、時代の流れはもう医療崩壊寸前ですから、次のステップとして破壊の後に創造が来るのを期待して良いと思います。そこに新たな高みが作られて行く事と思います。