医師不足も イノベーションで解決する未来
東京医大の事件に端を発し、今、医学部は国公私立ともに入学において男女格差が有意にあるところが7割以上あるとの報道があります。各大学は否定はしているものの、やはり調整している大学は多いと窺います。
これは女性蔑視や時代遅れとかではなく、今、医療の現場で医師の人手が足りないところをギリギリで回している背景があるからです。医師が卒後研修を経て1人前になって行く頃と、女性の妊娠出産の適齢期、子育ての時期が重なるためです。
医師に限らず、子育てする女性へ援助はすべきものですが、その主体は行政であるべきです。 個々の病院や同僚に、行政の代わりに負担を強いることを要求するのは、行政に問題があります。
そして、よく「働き方改革だ」とかで、ゆったりと軽い負担での勤務を、とか言われたりしますが、総量として労働力は減りますから同僚医師の過重労働に拍車が掛かりますし、最終的には患者さんにツケが来ます。
医師の数を2倍くらい増やし主治医制を止めてチーム医療が出来るなら、奴隷的に働かされる若い医師や、子育て中の医師も快適に働けるのでしょうが、大幅な財源が要ります。国民はこれ以上の負担は負いたくないものです。
別案で、医師の仕事の2割くらいは医師免許がなくても出来る事なので、ここは他の職員を雇うなりして補って欲しいところですが、その職員の給与も必要ですし、医師が直接電話を架けた方が早い等のこともあり、劇的な解決法には至りません。
結局はAI(人工知能)の導入などのイノベーションが一気に解決してくれるかも知れません。
今は当たり前になっている腹腔鏡での手術ですが、あれは1990年頃に一気に全国で行われるようになったものです。外科医の中には「1年で100年分進歩した。」と書いていた人がいます。
また中国のスマホ決済ですが、あれもたった2年で一気に成されました。背景には中国は偽札が多いので必要に迫られたと読みます。
今後、医学部入試で今よりは女子が受かり易くなるでしょうし、医学部の男子学生も含め若い人は、我々の世代と異なり、家族に充てる時間を確保したり、過労死寸前まで働くのは非人間的として、そうでない生き方を良しと考える人が増えています。
すると今より少ない労働力で医師が国民の期待を担う医療の提供を迫られますから、イノベーションで急速に解決する未来が来るのかも知れません。