形成外科学会 脂肪注入の保険適応への懸念
今日は第5会場で美容の口演が続いていて、「これに参加したかったんだ!」と言いたかったところでしたが、終わって振り返れば、今日一番印象に残ったのは「特別セミナー:自家脂肪注入の保険適応」についてです。
今は皆、脂肪注入が有用な医療であるは認知しています。しかし20年くらい前は、「脂肪は真皮と付けて真皮脂肪として移植しないと生着しない。脂肪単独注入をやってる医者がいるのは聞くが・・・(否定的)」との認識の形成外科医が多かったものです。
ですから平成12年に私が大森系美容外科学会で「豊胸における多数箇所刺入による大量脂肪注入」というような題名で学会発表しましたら、非難轟々の十字砲火を浴びました。「何でそんな医療をやるのですか!」とか「アメリカでは脂肪注入による豊胸術は事実上、禁止されてるんですよ。」等と壇上に上がっている私にフロアーから後年に美容外科学会会長をされる先生方から非難が来たものです。
あれから18年経ち、今日の演者の乳房への脂肪注入の話は「多方向から刺入し、少量づつ多層に注入するんです。すると多量に入れられます。」と話されていましたから、やっと広く認められてきたんだと感慨深く思いました。
しかし終わりの方でフロアーから乳房の再建にまともに取り組んでいる美容形成外科医から意見が出ました。「講習を受けたくらいで(胸への)脂肪注入を行わせるような安易なことは止めて欲しい。」と言われたのですが私も同感でした。注入の前に1リットルくらいは脂肪吸引しなければなりませんが、ここが問題です。講習を受けたくらいの医師では、吸引の時に拙劣なことを行ってしまいがちです。講習受講くらいでなく、その分野では研修医として専門施設に勤務して欲しいです。
私は違う視点から質問しました。「脂肪注入を乳腺外科医や耳鼻科医、眼科医が行う時も保険適応の扱いとなるとのお考えでしょうか?」と尋ねますと、「いいえ、形成外科専門医で講習を受けた医師に保険を適応と考えています。」との返事をされて私は困惑しました。『・・・これも形成外科の盛衰を賭けた政治運動なのだ。』と。
・・・博多と言えばラーメンですね。これを戴き帰りました。