麻酔科標榜医の取得に想う。

麻酔科標榜医 外科系医師の多くは若い時に麻酔科をローテーションするものです。入局先の医局に籍を置いたまま麻酔科に一時的に出向します。
私は医学部6年の時、将来美容外科をやるにおいて、どういう進路を選ぶべきか、日本美容外科学会(JSAPS)の理事であった江崎哲雄先生から、①整形外科から始めること(昭和の時代は形成外科は発展途上との認識からです)②麻酔と救急を回ること、麻酔は出来れば標榜医まで取った方が良い。・・・と指導を受けました。
私は整形外科に入局後、麻酔科出向の願いを出し、医師3年目の途中から麻酔科常勤となり延期願いも出して1年3カ月常勤でいました。理由は標榜医を取得するためです。

麻酔科標榜医は、①麻酔科常勤2年、②全身麻酔300例以上の症例提出で申請の2つの取得方法があります。以下は私が在籍した麻酔科講座の教授が当時言われていたことです。

・以前、標榜医の認定委員を務めたことがあるのだが、麻酔科としては症例提出での標榜医許可は今後廃止の方向で動きたい。
・仮に外科系研修医が夜な夜な泊り込んでは全身麻酔を掛けて1年で300例以上掛けたら標榜医を貰えるか?と言ったら、絶対無理。麻酔科入局医師が2年掛かって取得するところ、それより早く取得などさせない。
・大学の様なところの麻酔科の常勤を一定期間勤め、2年に満たない場合、300例以上掛けたら標榜医取得を許可することもあるが、麻酔科の常勤を開始する前に掛けた麻酔の症例数はカウント対象外。麻酔科常勤で研修開始後の症例しか数えない。
麻酔科研修が3カ月しかしてなくて、その後に他科で片手間に300例以上掛けたとしても、基礎が無さ過ぎるから申請しても標榜医を許可しない。麻酔科研修は常勤で最低1年は欲しい。
・麻酔科研修が終わって他科で兼任で麻酔を掛けるにしても、麻酔科専門医が常勤で勤めている様な基幹病院で症例を積むべき。
・麻酔科研修が仮に1年で終わった場合、麻酔科常勤医師の2年間に1年足りないところ兼任なんだから、研修が1年足りない分×2倍の2年は経たないと申請を認めない。1年半の常勤麻酔科研修だったなら、残り半年の×2で1年以上経たないと申請は認めない。

・・・上記から私は、延期願いも出して麻酔科1年3カ月の研修を続け、その後に湘南鎌倉総合病院で整形外科がメインでしたが週100時間は勤め、夜間に度々全身麻酔係りとして麻酔を掛けました。そして申請の時期も、足りない期間×2倍に余裕を持たせて300例以上の症例で申請したら1回で麻酔科標榜医許可となったのでした。