鼻尖縮小(鼻尖形成・組織移植)
鼻先の太い、いわゆる団子鼻を小さくする手術です。医師の技量の差が大きく出る手術で、鼻先で軟骨縫合するだけでは殆ど変化ありません。鼻先周辺の軟部切除、軟骨部分切除を行い、その組織または耳介から採取した組織を鼻先へ移植するところまで行って初めて好結果が出せます。
症例画像
手術範囲を広めにして鼻下半分をスッキリさせています
鼻尖の太い人は鼻尖上部まで太い人は多いので、手術範囲を広げて鼻の下半分がスッキリする技法(手術範囲拡大)で行っています。これは鼻翼縮小したような効果もあり、鼻孔も縦長に出来ます。
鼻先への移植組織が十分にあり確実な変化が出せています
鼻の中で部分的に削る軟骨を上手く再利用して鼻先の尖りを出しました。耳介軟骨移植をしなくても、この位まで横顔が美しくできる人は少なくありません。
鼻翼軟骨大きかった向かって左、皮下脂肪の多かった向かって右
向かって左の人は軟骨部分切除を十分に行ったので結果が出せています。向かって右の人のように鼻先の皮膚が薄く柔らかく皮下脂肪が厚い人は鼻尖縮小の効果がよく出ます。
手術の解説
1.鼻尖縮小手術の概略
※経験豊富な医師はクローズ法で施行。オープン法は初心者の技法で、中が直視できて手術し易い反面、鼻柱の横切で縦方向の動脈が切断されて鼻尖部への血行が阻害されますから、皮下組織をしっかり切除すると鼻先皮膚壊死のリスクが生じるため、しっかり切除ができず効果が不十分のことが多いです。
2.鼻尖縮小手術の手術範囲拡大
鼻下半分が鼻翼も含め目立つなら、手術範囲を広げて皮下組織除去も行いますが、これは皮膚の血流障害のリスクあり、クローズ法で鼻柱の縦方向の血流を確保しリスク回避します。
3.鼻尖縮小手術の鼻尖の挙上と横顔の変化
破線⇒実線(右図)の変化となります。このままでは“ポリービーク変形”(鼻先を指で横から押し潰したような形)を呈します。糸で縛るだけの手術でも必発で、正面はともかく側面が醜いです。
4.軟骨切除とその軟骨の再利用
料金(税別)
手術項目 | 金額 | |
---|---|---|
鼻尖縮小 | 単独 | ¥280,000 |
+移植 | ¥430,000 | |
+範囲拡大、移植 | ¥480,000 | |
+移植、鼻翼縮小 | ¥680,000 | |
+耳介軟骨での移植 | ¥580,000 |
よくあるご質問
医学コラム
鼻尖縮小手術の要点
東洋人に団子鼻が多いのは、西洋人と比べ鼻先の皮膚が厚く、皮下脂肪などの軟部組織も多く、加えて鼻先の左右の鼻翼軟骨が開いているためです。従って皮膚の切除は行なえないまでも、皮下軟部組織を出来るだけ切除し鼻翼軟骨が正中で開いている部分は糸で縫合して寄せ、更に鼻翼軟骨部分切除をすればまあまあ細くなります。
そして軟骨縫合が鼻先を縫い上げる傾向なので、上がったものを下げる意味で削った鼻の軟骨や軟部の鼻先移植が良い形状を作る事になります。
術後は約1週間のギブス固定が絶対に必要でテープだけではダメです。
鼻尖縮小は効果が僅かしか出ない?
皮下の軟部組織や軟骨の切除を出来るだけ行っても、また左右に開いた鼻翼軟骨内側脚の正中への縫合をキチンとしても、実は鼻尖手術後の外観の変化は少しです。その理由は厚くて硬めの皮膚がそのままだからです。
丁度、夏ミカンは身をくり抜いても、皮だけで形を保てるのと似ています。鼻尖の皮膚独特の皮脂腺の多い厚く硬い皮膚は、まるで形状記憶合金のように、元の形を維持しようとするのです。鼻翼縮小(小鼻縮小)の場合は皮膚を切り取れるから、手術前から確実な効果が保証できるのと対照的に、鼻尖縮小は中をいじった変化が外にどれだけ現れる不確定要素が多く、狙った通りの結果が出し難いものなのです。
鼻尖縮小はオープン法かクローズ法か
鼻尖縮小術は左右の鼻の穴の中を切開するわけですが、どうしても隙間から覗いての手術になるので、慣れないうちは勘が働かず、キレイに細くは出来ないものです。このように外から切開を加えない方法が「クローズ法」と呼ばれます。これに対し、穴と穴の開も切開し鼻先の皮膚をガバッと持ち上げ、中を丸見えにして行なう術式を巷では「オープン法」と呼びます。
オープン法は中が良く見えるから初心者でも鼻尖縮小の効果を出し易い術式で、クローズ法は手術の勘所が働く人でないと効果が出し難い術式です。加えて劇的に細くするような、十分過ぎる皮下での処置は、皮膚の血行を悪くしますので、これは実はクローズ法の方が皮膚壊死などの重大な合併症を起こし難い利点があるものです。
なお、オープン法の傷は後々あまり目立ちませんが、消えるわけではありませんから、見る人が見れば5年経っても分かりますし、オープン法の傷は特に2回以上切った場合、拘縮により段差を生じてしまうことがあり、これになると修正は困難です。
鼻尖縮小で軟骨縫合を行なうと鼻先が上がる?
鼻尖縮小術は鼻翼軟骨内側脚の縫合による正中移動によって、若干鼻尖を挙上させてしまいます。
この上がった感じを「ポリービーク変形」と呼び、ピエロの横顔の鼻を見ているようで美しくありませんから、通常は軟骨上方の部分切除で対応します。
しかしそれだけでは、鼻先が上がった感じ自体が治らないので、部分切除で削った軟骨を鼻先のやや下目に移植するとバランスが取れるものです。
鼻尖手術後のケア
巷の話として、術後早期には細くなった鼻尖も術後3ヶ月も過ぎるようになると、後戻りして元に戻ったとの体験は少なくないそうです。
ギブス除去直後が一番細かったなどというのは、術中の組織切除がまともに行われておらず、ギブスの過剰な圧迫で組織が鼻腔内に出っ張っていただけで、ギブス除去後に鼻腔内に出っ張っていた組織が元に位置に戻っただけというものがあります。
また、まともに組織切除が行われていたとしても、組織のある程度の再生や、皮膚も形状記憶合金のように元の丸い形に戻ろうとするのはあり得ます。
これに関しては、術後(抜糸後)、自宅で使う専用ギブスを毎日使う事を奨める医師もいますが、ギブスを熱心に使った患者さんの中には術後早期には細かった鼻尖が後で太くなった例が散見します。逆にギブスを使用させなかった症例の方が、あまり太くならず成績が安定している傾向があります。これは特に早期にギブスを使う事は、脱着の繰り返しによるマッサージ効果としての炎症の再燃、過大な力ではズリ応力による癒着部の剥離・空洞形成→治癒機転として肉芽が生じて太くなるとともに、空洞を小さくする拘縮作用で鼻尖・鼻翼の変形を起こす事はあり得ます。
私はそういう人も見てきましたので、術後の自宅でのギブス使用では「止めた方が無難です。」と指導をしています(上写真はギブスで早期に過大な力を加え続け変形が生じた症例で再建手術を3回必要としました)。