鼻中隔延長(鼻先を高く,下に向ける)
鼻翼軟骨の間に耳介軟骨移植、または肋軟骨移植を行い鼻先を下げて鼻を伸ばす手術です。ぶた鼻と呼ばれる上向きの鼻や、穴が見えやすい鼻を端正に改善します。
症例画像
鼻中隔延長(耳介軟骨)+I型シリコンプロテーゼ
耳介軟骨だけでも初めての鼻の整形でしたら、この位の変化は出せます。2回目以降の手術ですと瘢痕で延ばし難く、もっと硬い軟骨の併用が望ましいです。
鼻中隔延長(耳介軟骨):ヒアルロン酸注入の既往
手術の剥離操作でヒアルロン酸が一部出て、術後に鼻根が低くなっています。
鼻中隔延長(耳介軟骨+保存軟骨)+I型シリコンプロテーゼ
西洋人の鼻になりたいとのことで、耳介軟骨+保存軟骨(化学処理した安全な他家肋軟骨)を併用しました。なお、保存軟骨は鼻柱を出す手術でも大変良い結果を出します。
鼻中隔延長(自家肋軟骨)+I型シリコンプロテーゼ
ご自身の鼻が短く上向きで嫌いとのことで、シッカリ長さと高さが欲しいと男性モデルの写真をご持参され、ご希望に沿う形で実現しています。
鼻中隔延(肋軟骨)+I型肋軟骨隆鼻
鼻スジも含め異物は嫌とのことで全部肋軟骨で仕上げました。肋軟骨隆鼻では将来的な鼻スジの曲がりの懸念があります。
鼻中隔延長(耳介軟骨)
過去に鼻の手術歴なしにて耳介軟骨だけで鼻先を下げました。ご希望であった鼻の穴を隠す効果も十分得られました。
鼻中隔延長(肋軟骨移植):ブラジル美人風
鼻先の血流が心配で術後3日時にチェック、軽いチアノーゼ色でしたが、これを乗り越え、ご希望の形に仕上がりました。
鼻中隔延長(耳介軟骨)+I型シリコンプロテーゼ:ギリシャ彫刻風
美し過ぎる鼻になることも可能だけど、可愛いから離れて行く感じです。
可愛い系を目指す場合は鼻尖縮小、鼻翼縮小です。
手術の解説
1.外鼻の解剖
鼻翼軟骨は鼻先の形を呈し、外側鼻軟骨は鼻骨と鼻翼軟骨の間の鼻の高さ・太さを形作るものです。この外側鼻軟骨と鼻骨の下、顔面の正中に鼻中隔軟骨が存在します。なお、この外側鼻軟骨の外側を削り取る(切り取る)と鼻骨部分と鼻尖部分の間は細くなります。鼻尖縮小の際、この部分が太い人も多いですから、鼻翼軟骨の縫合&切り取りと合わせ、外側鼻軟骨の外側も切り取るとスッキリします(鼻尖縮小範囲拡大手術)。
2.鼻中隔軟骨とは
鼻中隔とは鼻腔を左右に別けるの境のことです、前方の軟骨の板と、後方骨から出来ています。通常骨より軟骨の板の方が発育が盛んなので、鼻中隔軟骨は彎曲(わんきょく)しているものです。
この鼻中隔軟骨が長く伸びていると、鼻は長く高くなっているものですが、日本人は短く高さもない人が多いので、短鼻、鞍鼻、鼻の穴の目立つ鼻となっている人が多いのです。軟骨とは言え、支持性は高くグニャグニャしていません。
3.鼻中隔のレントゲン
鼻の正中に縦にスジのようなものが見えますが、それが鼻中隔です。もっともレントゲンに移るのは鼻中隔の後ろの骨性部分(師骨垂直板・鋤骨)となります。
4.鼻中隔軟骨の軟線レントゲン
写真は軟部組織が写るレントゲンで鼻中隔軟骨を確認したものです。鼻中隔壁軟骨は厚みもあり、実際触れてみますとシッカリした硬さがあります。
5.側鼻中隔延長に使う軟骨の採取と傷
通常は耳の軟骨を耳介後面から採取します。より硬く大きい軟骨を採取する場合は肋軟骨を採取しますが、バストがかなり大きくない限り傷が目立ってしまうものです。
鼻中隔軟骨から鼻中隔軟骨の一部を取り出し、材料に使う場合もありますが、視野確保の難しさや取り出せたものが小さすぎるなどの点で現実的でありません。
6.鼻中隔延長の実際
板状に採取した軟骨は鼻中隔軟骨を挟むようにして固定し、鼻先を伸ばした位置で鼻翼軟骨内側脚の間に固定します。鼻先の高さを出すため鼻尖部に更に軟骨を乗せる場合もあります。
料金
表示金額は税抜き価格となっております。
※鼻中隔延長手術で耳介軟骨移植するか肋軟骨移植するかで材料の採取・加工に伴う費用の差は20~30万円です。
もちろん肋軟骨移植の方が高いです。
手術項目 | 金額 | |
---|---|---|
鼻中隔延長 | ①耳介軟骨+保存軟骨 | ¥700,000 |
耳介軟骨+自家肋軟骨 | ¥1000,000 | |
①+小鼻縮小 | ¥950,000 | |
①+プロテーゼ | ¥950,000 | |
①+鼻尖縮小 | ¥980,000 |
よくあるご質問
医学コラム
鼻中隔延長の審美的要素
短鼻や鞍鼻また鼻の穴が目立つ、丸見えの鼻は外観的に問題で、知性や品性を欠いた感じで美しくありません。鼻は顔の気品を演出します。適度な高さ・長さがあれば綺麗な人と見られ、美しい鼻といった場合は鼻の高さ・長さが必ず必要です。鼻中隔延長術はそのような形状を得る画期的な手術です。
鼻中隔延長手術の適応
短鼻や鼻の穴の目立つ鼻が適応です。鼻先を下げる目的とも言われますが、それだけが目的ならばI型プロテーゼ+鼻尖部軟骨移植でも可能です。しかしこれでは鼻尖部の皮膚を下げるのが主で、鼻の穴を見え難くする効果は少しです。その点。鼻中隔延長の方が鼻の穴の形状を作る鼻翼軟骨を正中部ですが下げますから、より鼻の穴は見え難くできます。
鼻中隔延長手術の麻酔
ご希望なら全身麻酔や静脈麻酔も使えますが、頬の部分にある眼窩下神経の骨からの出口に局所麻酔を打つ(眼窩下神経ブロック)事で、ほとんど痛みなく鼻の手術が行えます。これは狭義には局所麻酔というより伝達麻酔と言われるものです。この麻酔自体は頬の柔らかいところから注射の針を刺すので、あまり痛くありません。
また術前の精神安定剤の内服の併用は手軽で且つ効果的です。そしてこれにより、鼻翼に麻酔を打つ段階では、ほぼ無痛になっています。
鼻中隔延長手術と対比される手術法
- 型プロテーゼ+鼻尖部軟骨移植
鼻の穴を隠す効果は少な目。手術はさほど難しくないです。 - 鼻尖部耳介軟骨移植
3~4枚重ねて置きます。鼻先をちょっと下げたいだけなら、これで可能です。 - 鼻柱前軟骨移植
鼻柱が引き込まれ鼻翼の付け根が下っている症例に行います。 - 鼻中隔と鼻翼軟骨の間への軟骨移植
軟骨を重ね塊で置く。鼻柱前軟骨移植と合わせ鼻柱を更に出す時の手術です。 - 鼻孔内皮膚軟骨同時移植
鼻の穴を一番見え難くする手術。移植の壊死のリスクはあります。
鼻中隔延長手術外側の傷
鼻の手術をクローズ法で行えば外に傷がないから問題ないですが、オープン法で行った場合は鼻の穴と穴の間に横方向の傷が残ります。通常はほとんど目立たなくなりますが、消えるわけではありません。また、体質からこの傷が段差になる人が稀にいます。
鼻中隔延長は通常はクローズ法でできますが、軟骨移植後の再手術例や鼻の穴が鼻翼縮小術など受けていて小さ過ぎる場合はオープン法で行います。
なお採取部の耳の傷は問題にならないでしょう。右の写真のように肋軟骨を取った場合の胸の傷はバストがよほど大きくない限り、バストが被さって隠すことになりませんから、それなりに分かります。
鼻中隔延長の術後経過・壊死・変形
日本国内で鼻中隔延長後に強力に鼻先を下げたら血行が悪くなって、鼻先の皮膚が壊死した例があったと聞いたことがあります。シリコンでなくて軟骨で押し下げたとは言え、皮膚が蒼白になるくらい押し下げれば危険です。変形のことですが、術後早期は物理的な力の左右差から曲がるリスクがあります。
その後は移植組織の生着具合で若干の変形のリスクはありえますので、術後1年までは変形のリスクは考えた方がよいです。なお変形と言っても社会復帰に妨げになるほどの酷い変形にはならないものです。